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背骨

「なー、背骨って触ると歪みがわかるらしいぞ」
「そうなのか?」
「うん。だからさ、ちょっと触ってみて」
そう言ってシャツを脱いだ岸の背中に、躊躇いがちに腕を伸ばした。
この男のあまりの無防備さと信頼に、胸の痛さを覚えるのはいつものことだ。
それでもなお震える指を、そっと背骨に這わせた。
脂肪のない背中に浮き上がった背骨は、少しの歪みもなく整然と並んでいた。
「わっ。なんかその触りかた、ヤバい」
少し上擦った声を聞いて、慌てて指を離す。
「ごめん。くすぐるつもりはなかったんだ」
「いや、くすぐってーっていうか……」
「なんだ。はっきり言え」
「いやー、やっぱいい」
多少気まずくなった空気は、岸の笑顔によって霧散した。
しかしながら、その背骨の整然とした感触は、俺の一生抜けない刺になったのだ。