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いつも貧乏くじを引く人

いつも欲しいものは手に入らない。

サンタクロースに1000ピースのジグソーパズルを頼んだときは当時の最新ゲーム機が送られてきた。
小学校の時に好きだった大人しめの女の子に告白しようとしたら、その前にクラスで一番人気の女の子に告白された。
商店街の福引で3等のカップめん3ダースを狙ったときは特賞のハワイ旅行が当たった。
就職活動で第一志望の中小企業からお祈りメールを貰い、記念で受けた誰もが知ってる大企業から内定を貰った。

人からは贅沢だとか勝ち組だと言われるが、本当に欲しいものが手に入らなければ意味がない。
どんなに周りが羨んでも、自分にとってはただの貧乏くじ。
楽しくないゲームよりも、好きでもない女の子よりも、行きもしない旅行よりも、興味のない職よりも、自分が望むことが欲しいのに。

いつからか、何も欲しがらなくなった。
欲しいと思えば絶対に手に入らない。はるか遠くに行ってしまう。
手元に残るのは何の役にも立たないものばかり。
例え他人には価値のある宝石に見えても、自分にとってはただの石ころに過ぎない。

自分の宝に手を伸ばしてはいけない。

これが俺のルール。

それなのに、今の俺の宝には手がある。
今までの宝は逃げていくための足しか持っていなかったのに、今回はとても厄介だ。

気まぐれにこちらに手を伸ばしては、俺に手を出させようとする。
きっと俺が手を伸ばしたら笑いながら走っていくんだ。
俺が価値を見出せないものを代わりに置いて。

自分の目隠しをし、耳栓をし、手足を縛る。宝の存在に気づかないように。

「ねえ、こっち見ろよ」
「気づいてるんでしょ?」
「俺はこんなにもお前が好きなのに」
「なんでお前は逃げるの?」
「一緒にいたいんだ、お前と」

ほら、宝が話しかけてくる。返事をしたらおしまい。
俺の手からするりと抜けて、他に行く。
俺には何も見えない、何も聞こえない、何も触れられない。

貧乏くじを引かないただ一つの方法は、何も手にしないこと。