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最後の手紙

御国のためとは思へども、明日のことを考へると手の震へがとまらない。
字が乱れてしまふのを許して欲しい。

先刻は本当にすまない事をした。
好いてゐる、などと突然言はれても、君は困るばかりだつたらう。
本当は君に告げるつもりはなかつた。早まつた出撃のため、気が動転してゐた。
君に告げた事はどうか忘れて欲しい。
君の記憶の中には、一人の戦友としての自分がゐて欲しいと願ふ。
勝手な事ばかりを言つてすまない。

君と話したい事はまだ沢山あつた。君と行きたい場所も沢山あつた。
君を僕の故郷へ呼び、共に酒を飲み交はしたかつた。
こんなことばかり考へる僕を、君は笑つてくれ。
そして、僕が笑つて征けるやう、どうか祈つてゐて欲しい。
僕も、君の為に祈る。

死して靖国でまた、会はう。