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「死ぬ気でがんばります!」

「えーと、ローションと、ワセリンと……ああ、先輩。スタミナドリンクなんてどうですか?」
「スタミナドリンクは要らない」
コン、コン、コン、と卓の上に置かれた物を見て、思わず俺は脱力してしまった。
「そうですか?わかりました!」

色気のかけらもない夜だ。
まあ、こいつにも俺にもそんなものを求めるのは酷だ。

「聞いていますか?先輩」
「ああ、聞いている」
「僕、今夜のためにいろいろ勉強して来たんです。本とか、ビデオとか」
「そうか」
「それもこれも、今日の初体験を成功させるためです!」
目を輝かせ、こぶしを握りつつ奴は宣言した。

「今まで散々でした……特にファーストキス」
「ああ」
確かに。歯もぶつかったわ、舌は噛むわで大変だった。
俺の人生の中では最悪の部類に入るキスだった。


「だから、今日は」


「先輩が忘れられないような、すばらしい初体験になるように死ぬ気でがんばります!」
にかっ、と奴は心底うれしそうに笑った。
こいつの見ていると、自分もまんざらではない気分でいることに気がついた。
俺はこいつの笑顔は好きだ。
空回りしがちな愛情も嫌じゃない。
俺はこいつが好きだ。

俺は奴の頭を撫でて、そっと耳打ちした。
「じゃあ、お互いに頑張るとするか」
「は、はいっ!」
奴は顔を真っ赤にしながら笑った。


「ええっと、僕が先輩のズボンを脱がすべきですか?それとも上から脱がせたほうがいいでしょうか?」
「いちいち俺に聞くな。好きにしろ、好きに」
「わかりました!」

おそまつさまでした。