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アナログ×デジタル

「お前もこだわるね」
「気持ちの問題だ」

その冷たい口調のどこに気持ちがこもってるんだか。
ひっそりとそう思ったものの、口に出せば間違いなく怒られるから、
デジタルはそれ以上の言及をやめ、アナログに背を向けて画面に向き直った。
まだ自分の作業も終わってはいない。

ふたりがやっているのは、暑中見舞いの作成だった。
年齢と共に付き合いも、住所や名字の変わる相手も増えたせいで、
デジタルなどは面倒でパソコンでの作業に移行してしまったのだが、
アナログはいつまで経っても手書きにこだわる。
年賀状も同様で、葉書の売り出しと同時にコツコツと書き始めるのだ。

仕事では使ってるんだから、パソコンの使い方が分からない訳でもないのに。
住所録のチェックを終えたデジタルは、ひょいとアナログの手元をのぞき込む。

「邪魔をするな」

アナログの対応はやはり素っ気なく、
ちぇ、とデジタルは口を尖らせた。

言えない。
心を込めて名前を書かれる、見も知らない相手に嫉妬しているとか、
宛名や本文の手書きに費やす時間を自分に向けてほしいとか。
そんな子供じみた要求なんて。