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受けをカッコいいなと思う攻め×攻めを可愛いと思う受け

「やっぱ流石だよなあ。あんなん真似出来ねぇよ。」
「天才っているもんだな。」
「……。」
華々しい成果の陰で、気が遠くなるほど地道な作業を重ねていることを皆は知らない。
何の保証もない状況で、来るべき結果だけを見据える真剣な眼差しは痺れるほど格好いい。
だから、俺一人が知っていればそれでいいのだ。
賞賛を受ける上司は誇りだけど、羨望を集める恋人は不安の種でもある。


「お疲れ様です。」
そこらじゅう探し回って、休憩室のソファで寛いでいるところを漸く捕まえた。 
手の中の紙コップは既に空だった。コーヒーの匂いだけがふわりと鼻を掠める。
「すごく格好よかったですよ。ちょっと不安になるくらい。」
「は?」
彼は眉を寄せ、当惑した視線をこちらに向ける。
口をついて出た、子供じみた本音にしまったと思いつつ、仕方なしに先を続ける。
「皆が主任に惚れちゃったらどうするんですか。責任取って付き合うんですか。」
「そんな事あるか。お前は馬鹿だ。」
「あ-、いくら主任でも失礼な。人間そう簡単には変われないんですからね。」
彼の体をソファに倒し、その上から体重を乗せて押さえつける。
「お前はそのままでいい。馬鹿な子ほど可愛い。」
彼は言い、圧し掛かられた格好のまま、左手をのばして髪をかき回す。
犬ころにするみたいにワシャワシャと、楽しそうに。
俺はもう26ですと反駁することも忘れて猛然と聞き返した。
「今…何て言いました?」
「お前は馬鹿だと言ったんだ。」
「どうしてそこまで戻るんですか!」
くつくつと声がした。笑っている。普段の不機嫌顔が嘘みたいだ。実にレアな光景だ。
いいモン見ちゃったなぁと浮かれているうちに、はぐらかされた事を忘れた。
まったく、このひとには敵わない。