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木×葉っぱ


おしべ、というのはみじめなものだと思う。
どんなに素晴らしい種を持っていても、実になれるのはめしべだけだ。
自分の種を受けた相手が実になっていく横で、寂しく枯れていかなければならない。
体が黄色くかさかさになり、落ちるのを一人待つだけ。
土に落ちれば、あとは腐るだけだ。

「・・・それでは」

だから俺は喜ぶべきなのかもしれない。自分が葉であったことを。

「ああ、じゃあな」

木に栄養を与えた後は、用済みになって落とされる。
葉もおしべも、用済みになれば木にとっては同じだ。
一生で幾度も出会うもののたった一つに過ぎない。
それでもまだ。
俺は足元に落ちたあいつとは違う。風に乗って、遠く離れていけるのだ。
木のように、次々と新たな命を生み出すあの人から。
この箱庭のような王宮から。