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失恋してアル中一歩手前なあいつに片思い


「本当、愛とか恋とかクソだよな。
 一見きれいそうに見えても、気の迷いとかで長年積み重ねてきたものも一瞬でふいになる」
「そうだな」
「その点、友情っていいよなあ。人生最後に残るのはこれなんだって今回痛感したよ」
「そうだな。……なあ」
「んー?」
「もう酒、やめないか」
「無理だね。これ以上の気晴らしがあったら教えてほしいもんだ」

もう半年ほど前のことだ。
往生際悪くかわし続けていた結婚を考えてる人に一度会ってみてくれという誘いを、
諦めをつけるために承諾し、同居しているという部屋のドアを開けたときに見たものは、
荒らされた室内と『ごめんなさい、真実の愛を見つけました』という書置きだった。
その後荒れ狂っていたこいつが見つけた逃げ道が酒だった。
これでこいつの気持ちが安らぐなら、と毎日の酒盛りにつきあっていたが、
だけど、だんだんと日を追うにつれ酔った時の目が据わってくるようになった。
話の内容も愚痴と思い出だったのが、女性や恋愛をこきおろすものになった。
そのくせ、やたらと友情を持ち上げるものだから、俺は試されてるような気になってたまらない。
本当にまいってるこいつを見るのがつらくて、思い出すから家に帰りたくないというこいつを泊めて、
新しい引っ越し先も探して、心配だから毎日様子を見に行って、
それでも、どこかあわよくばという気持ちが残ってる自分が、俺はたまらなく嫌いだった。

「でもなあ、このままだと心も体もぶっこわすぞ。」
瞬間、だん、とテーブルが強く叩かれた。
驚いて奴を見る。顔が赤いのは酒のせいだけじゃなくて、
あの日俺に向けたような、子供のように泣きだしそうな表情をしていた。
「しょうがないだろ。寝れないんだよ。
 もう俺はいやだ。正気に戻ったらどうせまた思い出して泣いて吐いてを繰り返すんだ。
 親友なら、黙ってくれるのが筋ってもんだろ。……頼む」
弱り切った声に、理性が切れた。
もうどうしようもない。お前も、俺も限界なんだ。
「……だったらさあ、新しい気晴らし教えてやるよ」
限界なんだ。限界なんだ。限界なんだ。嫌だ、誰か俺を止めてくれ。
「愛だの恋だのじゃなきゃいいんだろ?安心しろよ。ただの気晴らしだから」
俺は、一度傷ついたこいつを、また傷つけようとしている。