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全部嘘


「俺が、嫌いって…嘘だよな?」
泣きそうな顔でしがみ付いてくる腕を少しだけ力を込めて引きはがした。普段よりも強く、優しさを薄めて。
「やめてくんない?」
出来るだけ冷たい声が出るように。昨日たくさん練習した通り。
「なん、で」
「最初から遊びのつもりだったんだよ」
そんな顔で見ないでくれ。心が痛むのを無視するのは大変なんだから。
「お前が本気にするからさ、もう飽きた」
拳を握り締めて、手のひらに爪を立てた。
そうしないと今にもこの口を塞いでしまいそうで、彼を抱き締めてしまいそうで怖かったから。
「そんな、だって…」
彼の腕に巻かれた痛々しい包帯が視界に入る。家の階段から落ちたと言ってたそれの、本当の原因を俺は知っていた。
だから俺は、お前を守るために嘘をつく。
「前に言っただろ?“俺は嘘つきだ”って、だから」

「ー俺はお前が嫌いだよ」

俺が言ったことは全部嘘だと気付いて欲しい、なんて思うのは余りにも身勝手過ぎた。