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病院と注射

真っ白なアイツ。
ココにはじめてきた時、はにかみながら挨拶してきた。
綺麗なアイツ。

「僕は嫌われ者なんだ。」
アイツは笑いながら、そういった。
「混んでるし、痛いことするし、」
いや、そのイメージの半分くらいは俺たちのせいだろうが。
「治ってく患者さんたちを見るのは嬉しいんだけど、やっぱりなくなっちゃう人もいるしね。」
そう、寂しそうに笑った。

アイツとは包装のビニール越しにいろんなことを話した。
でも俺はやっぱりアイツの笑顔が好きみたいだ。

どんどんと俺たちの仲間が減っていく。
この前新入りの奴も来た。
仕方が無い。
オレたちは一回きりの命だ。
アイツと同じ空気を感じられるのは、針を携えて赴く時だけ。
そしてそのまま捨てられる運命だ。



ある日、とうとう俺の番が来た。
どうやら俺がいるのは小児病棟だとアイツが教えてくれた。

アイツの声が包装のビニール越しではなく、直に聞こえた。
アイツのいい匂いがした。
そして俺の役目はあっけなく終わった。

「ちっちぇえガキだったな。」
「うん。かわいそうにね。」
辛そうな顔をさせてしまった。
慌てて話しかける。

「なあ、アイツ治るかな?」
ゴミ箱の中から話しかける。
一緒ににいられるのも後数時間だ。
「うん、きっと治るよ。君が頑張ってくれたんだし。」
柔らかい笑顔。
いつまでも見ていたいと思った。

あのガキが退院したら、コイツはきっともっと嬉しそうに笑うんだろう。
そう思うと妙に気分がよくなった。
その顔を見れないのは少し残念だけれど。