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ホワイトデーの支度


「ホワイトデー? 何それ」
バレンタインにチョコを渡した想い人に、それとなくホワイトデーのことを聞いてみた返事がこれだ。
しかも曇りない笑顔ときらっきらの目で。
「準備? 何で?」よりも「あ、忘れてた」よりも恐ろしい言葉だった。
しかし、まあ、予想しとかなければいけなかったのかもしれない。
バレンタインにチョコをあげた時も、日本には友チョコの文化があるんだってごまかしたし。
「バレンタインデーのお返しをする日なんだよ。俺も何人かに返すから、参考になるかなって」
「へえ、そんなイベントがあるんだ。面白いね」
「ま、知らないんならしょうがないや。ネットで適当に調べてみるわ」
内心がっかりしながら、俺は踵をかえした。
「待ってよ」
と、腕をつかまれた。
「せっかくのイベントなんだからさ、俺も何かするよ。何がいい?」
「……甘いものじゃなければ」
「オッケー。なら、夕飯をごちそうするよ! 金ないから手作りになるけど」
「いいよ、それで」
一気に跳ね上がった心拍を隠すように、そっけなく手を放す。
ああ、どうしよう。そんなことは当日にサプライズで言ってくれればいいのに。
来週まで、俺の心臓は落ち着いてくれそうにない。