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何でも屋


近所に何でも屋ができた。
「何でも屋ですか」
「ああ」
店にいるのは髪の短い店主のみ、普段の仕事は何をしているんだろう?
何でも屋って言うからにはなんでもするんだろうし……エロイこともしてもらえるんだろうか。ちょっとだけ想像してのどをごくりと鳴らした。
「気になったんで普段どんな仕事してるのか教えてください」
店主に声をかけた。すると店主は掌を上にして軽く揺らした。
「小依頼1つで5000円だ。うちは前払いオンリーなもので」
金の要求……ちょっとした質問ですら金が必要なのか。
「はい、5000円」
しかし知的好奇心は収まらなかった。財布の紐の硬さよりも、好奇心は大きい。
「ん、たしかに」
「基本的になんでもする。多いのは小依頼で一つ5000円。その次に多いのが中依頼で30000円、それ以上の大依頼はものによる。
そうだな、今やってるような小依頼は簡単ですぐに終わる依頼が多い。中依頼は時間をまたいだり若干危険な依頼だ。大依頼は……特に言うことはないこれでいいか?」
「え~と、具体的にどんな事を……」
いくらなんでも端的すぎる。この情報で5000円はボッタクリだ。
「最近あった小依頼は小説家志望生の小説を読んで感想を言うことだったな。その前にあった依頼は中依頼で旅行に行く夫婦にペットを4日間頼まれた」
金を払って人に小説を読ませる人なんているんだ……
「はぁ……それで、なんて感想を言ったんですか?」
「小説書くのやめて働けって言ったな」
「……無慈悲ですね」
「依頼を果たしただけだ」
せっかく金を払ったというのに小説そのものの感想がなかったばかりか、依頼人自体を否定するとはこの店主只者ではない。
「聞きたいのはこれだけか?」
「……あー、その。本当に何でもするんですか?」
さすがに体も売りますか? なんて失礼なことを目の前の男には言いにくい。
「あくまで基本的に、だけどな。金次第で引き受けている」
「私があなたを抱きたいと言っても?」
いくら言いにくくても俺は5000円払っている客だ。依頼内容も仕事内容を教えてほしいって内容だしセーフだろ。
「……予想外の依頼だ。依頼の程度を判断する必要があるから見送る形になるな」
普通に流された。そして依頼は果たしたと言われて店から追い出される。
追い出される一瞬、頬に温かいものが触れる。振り向くとウインクする店主がいた。
「まいったなー」
ちょっと本気で狙っちゃいそうだ。こうして俺は何でも屋の常連客になったのであった。