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女装×筋肉

 俺の恋人はとても綺麗で、とても嫉妬深い。
 お仕置き、と称して手首をぐるぐる巻きに縛られた俺は恐る恐る目の前の恋人を見上げた。目が合った瞬間、グロスで光る唇を美しくしならせて微笑みかけられる。
ぞくり、恐怖と甘い痺れとに背筋が戦慄いた。
 つつつ、としなやかな指が筋肉の隆起をなぞるように、露わになった肌を胸元から下腹まで辿っていく。たったそれだけのことに息が乱れた。
「すっごぉい筋肉ぅ」
 瞬きをする度にパチパチと音が鳴りそうな睫毛に縁取られた切れ長の目、スッと通った鼻梁、誰もが見惚れるほどに整った顔立ちから、掠れ気味の裏声が洩れた。
反響するように甘ったるい声が頭の中で再生される。ついでに腕に当たるふくよかな胸の感触も思い出していた。
「って言われてうれしかった?随分頭の悪そうな女だったけど、ああいう女好きだもんね?」
 オクターブ以上下がった声音に心臓がひやりとする。先程までの微笑は綺麗さっぱり消えていて、冷たい視線が俺を見下ろしていた。
「俺さ、譲歩してると思うんだけど?本当は打ち上げとか行って欲しくないんだけど、将くんが付き合いだって言うし、
付き合いで参加しなきゃいけないのもわかるから何も言わずに送り出したんだよ?」
 わかってる?とでも言うように指先が、内腿の弱い部分を引っ掻いていく。反射的に足が跳ねて、ふんわりとしたワンピースの裾が爪先に掛かる。
 ぼんやりと今日のことを思い返していた。
 ツアーラストの公演はなかなかいい出来だった。その興奮が冷めないまま参加した打ち上げで、誰の知り合いだったかそれとも潜り込んだファンの子だったか、
何にしろよく知らない女の子が気づけば隣に座っていた。確かに頭は悪そうだったけれど、そこそこかわいくて胸の大きな子だ。悪い気はしなかった。
「将さんって筋肉すごいですよねぇ」などと言われて気分を良くした俺は服の裾を捲ってみせた。
「すっごぉい筋肉ぅ」とゴテゴテと恐ろしい爪をした指に腹筋をなぞられているところ、見知った美女が現れた。
「将くん何やってるの?」と綺麗な微笑と共によそ行きの声色で問われたときは興奮も酔いも一気に醒めた。
「あそこで俺が来なかったらあの女お持ち帰りしてたよね?俺んときみたいに」
 この美しい恋人と出会ったのも打ち上げの席だった。サポートメンバーの知り合いだと紹介された「遥ちゃん」は物静かで、
けれども綺麗に笑う、奥ゆかしい子なのだと思った。「遥ちゃん」は今まで出会ったことのないタイプでその日の内にホテルへ連れ込んだ。
 そこまでは良かった。
 濃厚なキスの後、告げられたのは「俺、男だから。女装が好きなだけで。あと、将くんに一目惚れしたっぽい」だった。

「……聞いてる?」
 上の空だったのが気に食わなかったらしく、ぐちぐちと体の中を掻き回していた指を急に曲げられる。突然与えられた刺激に熱い息が零れた。
「でもさぁ、あの女持ち帰ったところで将くん満足できてなかったんじゃない?」
 遥が嘲笑うような手つきで体内を犯していく。
「…ん、ン、遥」
「ん?」
「…ッ、挿れ、」
「いいよ、四つん這いになって腰突き出して」
 一方的に与え続けられた快楽に、思考がドロドロになった俺は恥も外聞もなくその言葉に従った。ヌルヌルとした熱い塊の先っぽが入り口に触れて、期待に背中が震える。
 グッ、と押し広げながら中に入ってくる感覚に、馬鹿になったみたいな声と獣みたいな吐息しか出せない。
 緩やかな律動をはじめた遥が俺の背中の筋肉を辿る。
「あの女に教えてあげた?俺は女装した男に犯されて悦ぶ変態です、って」
 柔らかな布の感触を背中に感じたと思ったら耳元で囁かれた。罵る言葉の代わりに口を出たのは嬌声だった。