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ヤキモチ妬きなあいつ


 やたらと背の高いスーツの男が夕暮れ時にぬぼーっとやってくるのにも、最近慣れたところだ。
「お、もう来たのか後藤。もうちょい遅くなると思ってた」
「先輩、あいつ誰」
「敬語を使え」
 後藤の指差す方には、先程まで話していた女子高生がいた。
「……誰ッスか」
 まともな敬語使えってだから……まあいいか。
「近所のガキ……だった子。久々に会ったけどデカくなったわ。もうあの子が近所のお姉さんって感じ」
 正直、月日の流れがコワいところだけど仕方ない。俺のマンションに後藤を引き連れていく最中に、また後藤は口を開いた。
「さっきの。援交かと思いましたよ、一瞬」
「え、援交ってお前、そういうこと言うのやめろよ」
 嫌な響きの単語にビクつきながら、生きづらい世の中になったもんだぜと呟くと、後藤はイヤミな笑みを浮かべた。
「先輩がそれだけオッサンになったということッスね」
「おま……」
 自分こそあっという間にオッサンだぞコノヤロウと言いたくなったが、後藤は多分オッサンよりオジサマになるタイプだと思われた。くそ腹立つな。少し、茶化してやることに決めた。
「そんなこと言ってぇ、実は俺が浮気してると思ったんじゃねーのぉ?」
 そんなことないッスよというような、弁明を待ったが、一向に後藤が口を開く気配がない。
 部屋に着いちゃったじゃねーか。
「ち、沈黙やめろ。図星かお前は」
「先輩、たまにはハメたいのかと……」
 玄関に入ってから振り向くと、いつもは余裕ぶった後藤が青い顔をしていた。バカバカしい話してるのに、よくそんな深刻そうになれるもんだ。
「……だったらどうするぅ?」
 後藤のたまに見せるガキっぽさがたまらなく好きだ。父性ってやつだろうか。
「……あ、あの、どうしても、なら、ど、努力する……」
 外国人みたいになってるけど。
「努力ってお前……開発でもすんの」
「や、あの……は、はい」
 図体ばっか大きくて、めちゃくちゃビビってそうなのに、素直にコクンと頷いて答える後藤が、滑稽でいじらしくて、でも思わず噴いてしまった。
「ヒーヒヒヒ、ヒヒッ、か、開発……したいのか、ブフッ」
「したいわけじゃねえよ!」
「だっ…だってお前、ふっ…へへへへへ」
「いや、だから! あんた繋ぎ止められればそれでいいんだよ!」
「ダメだ、セリフっ……おまえ、クサいヒヒヒヒヒヒ」
 ゲイだし、ネコだし、心配するなと言ってやった方が優しいかもしれないが、生意気な後藤の表情がころころ変わるのが面白くて、もう少し遊んでも許される気がした。
 玄関先で笑い転げたせいで、怒った後藤にそのまま乱暴にされ、翌朝オッサンな腰に大ダメージくらうまでに気付けば良かったが……
 後の祭りとは、このことなんだろう。