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サンタクロース


「サンタはおれのとこにはこないよ」
甥である雅浩の言葉に、爽太は目を瞬かせた。
不貞腐れたような表情の雅浩と視線を合わせるようにしゃがみこんで、爽太は改めて彼に問いかけた。
「えっと… 何か悪いことでもしたの?」
「してねーよ!」
そう叫んで、こちらを向いた表情は7歳らしいそれで、爽太はますます首を傾げた。
姉夫婦の子である雅浩は、所謂ガキ大将タイプだ。
爽太にこそ懐いているものの、両親にはえらく反抗的である。

あんたに懐いてんだから欲しいものを聞き出してよ、と姉に言われるがままに
「サンタさんに何をお願いしたの?」
と聞いた返答が冒頭のそれであった。 何分こましゃくれた子供なので「サンタなんていない!」と言うのは想定していたが、何とも斜め上の回答である。
「どうして、来ないと思うの?」
「だって、おれの欲しいもの、サンタはしらねーし」
なんだ、サンタ自体は信じているらしい。
彼の手はずっと爽太の服を掴んでいて、それがまたいじらしい。
「雅浩、靴下は持ってるだろ?それに欲しいものを書いた紙を入れておくと、サンタさんがきっと届けてくれるよ」

そう言うと、雅浩はぱっと顔を上げた。その瞳は期待で輝いている。
「ほんと?」「本当だよ」
「何でも?」「何でもだよ」
雅浩の目を見つめて微笑んでやると、彼は嬉しそうにはにかんで、爽太の胸に飛び込んだ。
爽太はその頭を撫でてやりながら、姉にいい報告ができそうだ、と胸を撫で下ろした。
「帰ろうか」
声をかけると、雅浩は大きく頷いた。
爽太が立ち上がるのを見計らったようにきゅ、と手を握ってくる雅浩に、思わず爽太は笑い声をあげた。

後日、靴下の中に入れられた「そう太がほしい」と書かれた紙に、姉夫婦が頭を抱えるのはまた別の話