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ヘタレの告白


「沢井のことがずっと好きだったんだ」

 泣きそうな顔で宮下が言った。

 こいつとはもう何年も親友として過ごしてきた。
 いや、俺はそのつもりだったのだが。

「大学のサークルで沢井に出会って、気が合ってしょっちゅう一緒につるむようになって、
俺は体力とかあまりないし世の中ちょっと斜めに見てるところがあるから、
沢井のバイタリティとかまっすぐな気性とか面倒見のいいところとかがすごく眩しく思えて、
気がついたら好きになってたんだ…」

 宮下は涙のたまった瞳で俺を見ながら言葉を続ける。

「だけど男同士だし、友達として沢井とつき合っていければそれでいいと思ってた。
 沢井に彼女ができたときは本気で祝福したよ。
 彼女といるときの沢井はとても幸せそうで、
そんな沢井を見てると俺だって嬉しかったんだ。本当だよ」

 ああ、知っている。
 彼女と一緒にいるとき、俺たちを見る宮下の表情はとても優しかった。
 でも、それでいてどこか寂しそうに見えたのは宮下につきあってる子がいないせいだと思っていた。
 けど、そうじゃなかったんだな。

 俺は宮下の気持ちにずっと気づかなかった。
 だから、昨日彼女と別れ話をした後、宮下を呼び出してヤケ酒につき合ってもらったのだ。
 宮下の気持ちを知っていたら、そんなことはしなかったのに。

 居酒屋でしこたま飲んで、それからコンビニで酒を仕入れて俺の部屋でまた飲み直した。
 飲んで、飲んで、飲んで、いつのまにか眠っちまって――。

 「こんなことするつもりじゃなかったんだ。
 酒で沢井のつらい気持ちが紛れるならと思って、だからつき合って飲んでたんだ。
 でも、沢井、女なんかいらない、俺にはお前がいればいいとか言って、
暑いからって服脱いじゃって俺に抱きついてくるし。
 俺もけっこう酔っ払って理性なかったみたいで、
こんなことした言い訳にはならないけど、気がついたら俺…。
 ごめんね、沢井。ほんとに、ごめん…」

 泣き出した宮下の涙が、俺の顔に落ちた。

 泣きたいのはむしろ失恋してヤケ酒飲んで酔いつぶれたら
親友だと思ってた男にケツ掘られた俺の方なんだが。
 しかもそいつに告白までされちゃって。

 いったい俺はどうすればいいんだ?

 まあ、今のこの状況で宮下に対しての怒りとか嫌悪感とかそういう感情が
何故か湧いてこないってことが、これからの俺たちの関係がどうなるかを
なんとなく暗示しているような気もするが。

 泣き続けてる宮下を見上げながら、俺は口を開いた。

 「とりあえず俺の上から降りろ。話はそれからだ」