実体の無いものが人間に恋い焦がれる


夢を見た。三年前は老人で、その前の七年くらい前は男児だった気がする。何度目の出会いかわからない。でも、確かに同じ彼。
最近の仕事の話、好きな食べ物、心地よい沈黙。何度目だろうか?彼と過ごすのは。
今日の彼は青年。今の俺にとっては年下で。

きみは、おぼえてるかい?
何を?
はじめまして、のすがたを。
ああ、確か今の姿だった。俺より少し年上のお兄さんだ。
おぼえてくれていたんだ。

何時の間にか、白の部屋は黒に変わる。彼だけが薄く光る。

ほんとに、おとなになった。
すっかり草臥れたおっさんだ
きみは、もうないてない?
ああ。大丈夫だ。
ねえ、
うん?
きみは、しあわせになれた?
…ああ。少なくとも今は幸せだ。生きる選択してよかったと。
よかった。きみにはしあわせになってほしいから。きみはたしかに、しんにある、から。じぶんのちを、たかめられるから。
ああ、なかないで。きみは、しあわせになったんだから。しあわせになれるのだから。これから、じぶんのちからで、じぶんとむきあって、ちをたかめられるのだから。

あこがれたのが、きみでよかった。
きみを、とめられてよかった。
きみのしあわせを、てつだえてよかった。
ぼくには、きみが、ひかっていて、きれいで、
だから、ぼくは、たっくんを、



「ねえねえ!先生は何で社会の先生になったの?」
「あ?口動かす前に手動かせ」
「たつやくんのケチー」
「おうおう、もう五枚追加な」
「な!?マルクスとかヘーゲルとか倫理まじ意味わかんねえのに!」



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最終更新:2014年02月19日 02:43