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中年王子と老いた忠臣

「懐かしいな」
目の前にいる、誰よりも何よりも大切な御方が呟いた。
彼の目は窓の外を向いている。
自分もそこへと目を向ければ、翼を大きく広げた鳥が飛んでいるのが見えた。
この御方が幼い頃より、この時期になると飛んでいる鳥だった。
「あの鳥が欲しいと言って、お前に取りに行かせたなあ」
そうだ、今でこそこの様に立派になられたが、小さな頃は酷い我侭で一度言い出したら聞かない性格をされていのだ。
あの時は結局捕まえる事ができなくて、ぐずるこの御方の手を引いて帰ることとなった事を思い出す。
今、私の動かない手を握る彼の手は、その頃とは似ても似つかない。
ただ、暖かさだけが同じだった。