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いつかお前を抜いてやる

「なあ、怒ってんのかよ」
ああ怒ってるよ。だって知ってるから。お前が毎日毎日残って練習してること。
「確かにあの先公、感じワリーもんなあ」
何的外れなことを言ってる。やっぱこいつバカだ。
「ところでさあ、昨日タイム測ったら、お前の叩き出した記録にまた近付いてたんだぜ!」
俺は焦ってる。
「いつかお前を抜いてやるからな!」
俺は、焦ってる。
いつかこいつが俺を抜いたら、もうこいつは俺の傍に居てくれないんじゃないか。
もうこの笑顔は、俺に向けられないんじゃないか。
「お前みたいに調子乗ってるバカは、足故障すればいいのに」
「あーっ、なんだよそれ!ひでーなお前!」
この時間が好きだから、だからこそ俺は、何もできないまま。

「なあ、怒ってんのかよ」
聞いても何も言わないし。俺と目を合わせようともしねーし。やっぱ怒ってんのか?
「確かにあの先公、感じワリーもんなあ」
言ったら、鼻で笑われた。何だよ、人が真面目に、…。
「ところでさあ、昨日タイム測ったら、お前の叩き出した記録にまた近付いてたんだぜ!」
俺は望んでる。
「いつかお前を抜いてやるからな!」
心の底から望んでいる。
いつか俺がこいつを抜いたら、俺はこいつと対等になれるんじゃないか。
そしてこの皮肉っぽい態度も、普通の笑顔に変わるんじゃないか。
「お前みたいに調子乗ってるバカは、足故障すればいいのに」
「あーっ、なんだよそれ!ひでーなお前!」
この時間も好きだけど、だからこそ俺は、がむしゃらなまま。