乱交

自慢じゃないが俺のうちにはパソコンがない。
情報処理の授業があるのに不便だとつくづく思う。
加えて学校内のも足りないとかで班毎に1台だってさぁ。
男3人で班とかありえないって。どこの男子高だ、共学の意味ねーよ。

昼休みのチャイムがなると同時に、ニヤニヤしながら近田が俺をいじめに来た。
「なーなー、スギさぁ。こないだの機器接続の図ぅかけた?」
無理に決まってんジャンそんなの。こちとらMACとウインドウズの区別もつかない
機械音痴なんだぜ。どこ押したらエロ画像がでるのかさえわからんもん。
なんだよその今回は勝った!って顔。ホントは自分だってできてないくせに。
思いっきりしかめ顔してやると、やっぱ同じ班の生駒が助け舟を出してくれた。
「できてないなら2人とも今日家にくる?実際見たほうが早いし」
頼りになるけど写させてはくれない所がまじめな彼らしい。
そういうトコすっごくいいなと思う。
「イコうっせぇwwwオレはこの昼休みで片す予定だからいかねーよ」
ヤツがチャリチャリ言わせてたのは情報処理室の鍵。
「スギがどうしてもって泣いて頼むなら一緒につれてってやってもいいぞw
 オレが教えてやろっかー?」
「ちょ、まて。お前どうやってそれ持ち出した」
「あー適当wwwっつかイコ関係ねーだろww」
「それ見つかったら相当やばいぞ。班で借りたってことにするからみんなで行こう。
 ンで、先に職員室な」
「えーめんどいし」
めんどくねーよ。生駒もそんなヤツかばうな、ほっとけ。って言いたかったけど
俺は黙って2人についてった。

無事に許可も下りて残り少ない休み時間、惣菜パンを片手に(本当は持ち込み禁止!
機器のコードをこねくりまわしながら俺らはなんとかSCSI接続図を書き上げた。
あーあ、こんなだったら素直に生駒んちでゆっくりやりたかったよ。
ため息をつきながら後10分しか休み時間がないのを確認する。
もうちょっとびしっと言えたらなぁ。
俺も生駒も振り回されっぱなしなのは気に入らない。
「もう鍵しめるからあんま余計なことするなよ」
「おーうwwwおい、ちょっとこれ見てみー?」
なんか調べてたらしい近田がゆっくり手招きをする。例のニヤニヤ笑いで。
いやな予感がしたけど言われるままに画面に目を移すと一面の肌色とピンク色。
隣につったった生駒の顔も画面の反射のせいか心持ち赤い。
「SCSIって調べたんだけどwデイジーサークルってそういう意味もあんだな」
「ばっかおまえ、校内でへんなもん開くな乱交ってなんだよ」
「変じゃねぇよwついでにこれは事故だろwww」
SCSI連結ってデイジーサークルとも言うのか。そっからやばいページに飛んだんだ。
俺、もう帰っていいかな。確かにピンク色の世界に興味はあるけど……。
「でも女2男1はめんどくせーよな」
「マジもうやめとけって、アクセス記録のこんぞ」
「イコこういうの興味ないの?wwwもしかしてガチのヒトだった?www」
「そんなこと……」
生駒困ってんジャン、もうやめろよ。課題できたんだからもう帰ろう。

ええっとココは学校の昼休みで情報処理室で。
遮光カーテンの端から漏れる光に時々ホコリがきらきらしてて。
「……興味なくはないけど、一番興味あるのはお前」
生駒がなんか言っちゃって、同時に俺ってば、あーやっぱ片思いのままだなんて。
いつの間にか俺の手、近田が握ってる。俺は振りほどきたいのに解けない。

頭の中では男三人のデイジーサークルがくるくる回って可憐な花を振りまいていた。


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最終更新:2013年08月15日 04:08