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一度だけキスをしたことがある

学食は混んでいたから、並んで座るしかなかった。
「お前誰ともつきあったコトないの? マジで?」
入ったばっかの大学で、最初に声をかけてきたこいつ。
なんとなくそのままつるんで、一緒にメシを食っている。
なんでこんな会話になったんだか。
こいつモテそうだから、誰か紹介してやるとでも言うのかな。
「わるかったな。どーせ寂しい人生だよ」
笑っていいのか、憮然とするべきなのか。
割りそこなった割り箸は食べにくい。
「キスもしたことないんだ?」
ねーよ、と返そうとして言いよどむ。
なんかまるでなんも知らない赤ンボみたいに言われるのが癪だ。
「い、一度、だけ」
ばか俺。なんでつっかえる。
へぇ、とヤツのニヤニヤ笑いが深くなる。
「それっていつ?」
「幼稚園の、とき…」
言ってからしまったと思った。
正直に白状することないじゃないか。
いつでもいいだろお前に関係ない、って言えばよかったじゃないか。
名前も覚えてない。あれからどうしたかも記憶にない。
覚えてるのは、夕暮れの公園と、真っ赤になったあいつの顔。
「じゃあさ」
そんなの数に入るかよと笑うと思ったのに。
何を思ったか、ヤツはつい、と体を寄せてきた。
「2度目も俺が、もらっていいかな?」