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声変わり

「中野はさ」
屋上で弁当食って残り時間はいつも通りの昼寝タイム。
声のするほうにごろりと寝返りを打つと小金井がぽっかり浮かんだ雲を眺めながら続けた。
「まだ安定しないよな。体質とかかね?」
「あー。そうかもしんない」
適当に相槌を打ちながら小金井の喉仏を見つめた。

俺の声はちょっと変だ。だからあんまり喋りたくない。
顔に似合わないね、といわれる重い声とはしゃぐような子供の声が時々入れ替わる。
こんなのがもう1年も2年も続いている。
皆のように「大人の男の声」になったらこの気持ちはなくなるんだろうか。
逆か。変なキモチがあるから、子供っぽい独占欲ばっかだから、こんな声のままだとか。
・・・俺の声が俺を責める。
「ずっとこうだったらヤだな」
いつまでもガキみてぇじゃん、と言ってるそばからもう声が裏返ってしまう。
「ソレはそれで味があっていい。中野らしいし」
「何それ、ひでぇよ。ずっと子供のほうがいいってこと?」

最初にこいつと会ったときはお互いまだ中学生みたいだったっけ。
なのに2年たって今じゃすっかりでかくなって。渋いいい声になっちゃって。
大人みたいな声で大人みたいな事言うな。
「いや、なんてかさ」
「あ?」
ちらりと俺のほうをみた小金井の顔が赤いのは気のせいか?
「中野が大人っぽくなったら、こんな事もうしてくんないんだろうな。なんてな」
ぽかんと口を開けたまま固まってた俺に、俺がいつも悪ふざけに見せかけて奴にするみたいに
ぎゅうぎゅうと抱きついてきた。