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甘酸っぱい青春

「いいよな、詰襟。俺詰襟着たかった」
「着ればよかったんじゃねーの」
「そういうこと言うなよ」
「私立お前が選んだんじゃん」
「そうだけど」

そうだけどさあ、と唇を尖らせながら黙り込む。
こういう時の顔はガキん時と大して変わらない、こいつは。
ガキと変わらない反応を返すようなこのバカが、
俺じゃあ逆立ちしたって行けないような私立の高校に通っている。
金持ちで頭のいい奴ばっかりの学校を、俺が知らない間に選んでいった。
俺のガッコのずどんとした学ランとは違う、なんかスーツみたいなブレザー着て、
人が見たら変な二人組みだよ、と思う。


「……お前、拗ねた顔ガキのまんまだな」
「はっ?」

言ったのは俺じゃなかった。
なんかどっか嬉しそうな顔で俺を見ながらこのバカが言ったのだ。

「何言ってんの?拗ねてねーし。てか拗ねてんのお前だろ」
「拗ねてねえよ俺はーぁ」

言い返しても怒らない。こいつはへらへらと笑っているだけだ。
俺をガキ扱いするところも変わってねえ。
俺よりずっとガキのくせに、俺よりずっと大人みたいな顔をしてたし、周りもそう思ってた。
ずっとそうだった。

小突こうとした俺の拳をゆるゆる避けながら、まいったなー、と笑う。
まいったなあ。
せっかく私立に行ったのになあ。
せっかく遠いところに―――

「うっぜーなおめーはよー」

掌で顔面を潰すとぶふ、と変な音がした。

ついでみたいに言ってんじゃねーよ、と口の中で呟くと、
へらりと笑って「そっすね」と答えた。