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スクールデイズ

「~~~でね、本当最高に優しいの!いい彼氏だよねえ!」
馬鹿みたいにでれでれしてるあなたは、あの頃と同じように可愛い。
「よかったな」
「うん、幸せ」
そう言ってくいっと酒を飲む仕草が、俺に何かを思い出させた。
あの頃俺たちが飲んでいたのは酒じゃなくてサイダーで、
しゃべっていたのはローカル線の駅のベンチだったけど。
口に入りきらないほどの量を一度に飲んでむせるんだ、あなたは。
「……っごほ」
ほらね。
「一気に飲むなよ」
俺が背中を軽くさすると、あなたは微笑んで俺を見る。
「なんか懐かしいね、この感じ」
「……うん」
あの頃、あなたに恋していた俺は、あなたのことばかり見ていた。
学校で一緒に授業をサボり、屋上で寝ていた春の日。夏期講習に汗をたらして
自転車二人乗りして行った夏の日。文化祭準備で学校に泊り込んだ秋の日。
二人で屋台のたこ焼きを食べた初詣。そしてまためぐってくるうららかな春。
あなたがいきなり耳にピアス穴を開けたのがクラス中の大事件になったのは
二年の夏休み明けだっけ。俺の家で穴を開けた後、痛くて半泣きになってるあなたの耳を
ひたすら氷で冷やし続けてた。
駅のベンチや学校の屋上で、さんざん馬鹿な話をして笑い合ったり、じゃれあったりしたけど、
俺はあなたを失いたくなくて、あなたに何も言えなかった。
好きだよ、って一言さえも。
何も言わずに、あなたと一緒にいると楽しいのに、ただ胸が痛くて。

あのとき、言っておけばよかったのに。

「いい彼氏ができて、よかったな」

そんなやつと出会うずっと昔から俺はあなたが好きなのに。
あの頃俺が好きだと言ったらあなたはどう答えただろう。
俺の顔を見て、幸せそうに笑うあなたはあの頃と少しも変わらないのに、
もうその答えはきっと永遠に謎のまま。