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進路の違い

部屋に入って直ぐに腕ごと引き寄せられた。ぼふ、とかたい胸に丁度僕の顔が当たる。
メガネのフレームが歪むだろ、と思ったけれど言葉にする前に口を塞がれた。
お前は知らないだろうけど、僕は舌を絡めるキスは嫌いなんだよ。
粘膜の感じが、とてもいやだ。お前が近くに居ることが気持ちいいだけで、
ほんとうはセックスなんてしたくないんだ。
目をつむるとメガネを外されて、ああ、これから多分一時間は抱き合うんだなと思うとうんざりした。

目を開けると部屋が青かった。横で裸のおっさんが眠ってる。
眠ってる顔はずいぶん幼くて、かわいいし、幸せそうだけれど
僕は彼が今幸せかどうか知らない。じっと見ている内に目を覚まして、
僕を見ないかなあと思ったけれどどうも眠りは深いみたいだ。
お前は知らないだろうけど、僕はお前とただ仲良しでいて
ずっとずうっと楽しい話をしたりして過ごしたかったんだ。
こんなかたちで付き合いを続けたかったわけじゃないんだよ、もっと、僕は、
けれど彼と友人で居続けるには、僕と彼の選んだ道はあまりにはなれていた、
額から生え際までゆっくり撫でる。
選んだ道だなんてそんなのは言い訳で彼にとって僕は最初から友人ですらなかった、
そんな考えがこめかみのあたりに浮かんで、消えた。