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ノリで女装しちゃった攻めと茶化して褒める受け

「白と赤、どっちが似合うと思う?」
「うっへあッ!?」
随分と情けない声を出してしまったが、
目の前の可愛い子ちゃんがいきなり男友達と同じ声で喋ったとしたら
みんなこんな感じでかっこ悪くなるんじゃないかなぁ、とオレは思う。
「おっまえッ! マジ何してんの!?」
「女装。今度の文化祭、男子ミスコンやるでしょ。
 今日ノリで"優勝目指す"って言っちゃったから」
「文化祭、明後日ですけど!?」
「うん。だから、協力求む」
驚くオレとは正反対に陸人は無表情でコクコクと頷いた。
この進藤陸人と言う男。中性的な可愛らしい見た目と、
物静かで落ち着いた性格とは裏腹に案外ノリが良く
日常的に真顔でボケをかますような天然モノの変人だ。
今みたいにいきなり突拍子もない行動を取り始めるのも珍しくはない。

「とりあえず赤か白、答えて」
ぼけーっとマヌケに口を開けて固まっていたオレに
陸人はお花の付いたカチューシャを二つ突き出してきた。
「衣装は今着てるのに決めてるから、どっちが合うか教えて」
その言葉でオレは再び陸人を上から下までまじまじと眺めた。
髪はカツラでロングストレートになっていて多分軽い化粧までしてる
どこかの民族衣装風のワンピースはふんわりしていて何とも可憐だ
複雑な模様にシンプルな白いエプロンが実に映える。
「……赤だな。エプロンが白いから色被せないほうがイイ」
「なるほど、バランスは大事だ」
納得したのか陸人はガッツポーツまで決めて頷いた。
「はい、それダメ! 全ッ然"ミス"じゃない、やり直し!」
その仕草にすかさずダメ出しする、ノってる相手にはノリ返すのがオレの礼儀だ。

「――っ! "なるほど、バランスは大事、ね?"」
一瞬ハッと目を見開いた陸人は、一回瞬きをした後すぐ淑女になった
男らしいガッツポーツだった手も今はお腹らへんで静かに佇んでいる。
「オッケー! めっちゃかわいい!」
今度はオレが全力でガッツポーツを決める、女装に仕草は大事だ
陸人は手応えを感じたかのように何度か頷いた後こっちを見つめてフッと笑った。
その笑顔は"かわいい"よりも"カッコイイ"で。ちょっと、ほんのちょっと、ドキッとした。
「うん、うん、これ優勝行ける。蓮介に自転車あげられるよ」
「はい? なんで自転車? オレに?」
自信満々に再びガッツポーツを決めかけ慌てて止めた陸人の言葉にオレは困惑する。

「知らない? 男子ミスコンの優勝賞品、折り畳み自転車。
 前に蓮介、欲しがってたやつだよ」
「えっ? え? お前それ取る為に、しかもオレに渡す為にやんの?
 で、でもさっきノリって、てかオレ思いっきし茶化しちゃったじゃん」
「ノリだよ? クラスの皆に言ったの……。
 自転車は最初から取る気で居たけど、準備もしてたし。」
そう言って陸人は衣装のスカートを少し引っ張った
オレはいきなりのその言葉に目を白黒させる事しか出来ない。

てかこの状況ヤバイ、超照れる、だってカッコイイだろ
友達が欲しがってる物一つの為に恥を忍んで真面目に女装とかさぁ。
むしろ茶化して軽いノリで動いたオレのが恥ずかしいって。
「……も、もっと早く言ってくれれば、こんな茶化し方しなかったのに」
「……? アドバイス的確だったよ?」
申し訳なさと恥ずかしさでおそらく赤面しているオレを
茶化すでも無く、怒るでも無く、陸人はサラッとそう返してきた。
不思議そうにオレの顔を覗きこんでくる陸人から慌てて目を逸らす
なんかもうこれ以上、目の前の男前すぎる可愛い子ちゃんを直視できそうに無かった。