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あえぎ声がうるさい攻め(notショタ)と声を我慢する受け

ドン、と。地鳴りのような音がした。
すぐにわかった、誰かが壁を叩いた音だと。
陶酔していた雰囲気の中から急に日常に引き戻される。俺が真昼間っから男とセックスしている間、隣の誰かがテレビを見ている洗濯をしている友達と電話している。
途端に顔が熱くなる。「恥ずかしがっている」それをこいつ知られるのが殊更に恥ずかしく、耳元がカイロでも押し当てられたみたいに熱い、それが触れなくてもわかった。
2階建ての安アパート、当然のように薄い壁、最初から声は抑えていたつもりだったが、こいつの実家から持ってきたというちゃちなパイプベッドが高い音を立てながら軋んでいるのに気が付いた。
「うぁ、沢原ぁ……、ちょっ、ゆっくり…」
助けを求めるように後ろに首を向けると、俺とベッドを揺らしている男が幸せそうに笑っていた。
「なに?なんでーこっち見てんの?ふふ、たっちゃんかわいー!」
相変わらず声がでかい。いつでも、どこででも。
「っ沢原、となり…が」
口元に手を添えできる限り小さな声で話す。沢原はお構い無しにでかい声で喋り続ける。
「たっちゃんってばかーわい、恥ずかしがってんのー?顔真っ赤だねー、あーキュンキュンしてる!やーらしー!たっちゃんマジ最高かわいいい!」
「さ、っわ……バカ!」
小声のままで精一杯抗議する。これでもかと顔が熱くなる。
自分でも訳がわからないくらい、いつになく体中が反応している。そんな俺を沢原が食い入るように見る。
恥ずかしい、声を出したくない。顔を枕に埋めてしまいたい。沢原に見られたい。沢原を見たい。
「たっちゃん、綺麗な指、噛んじゃだーめ」
言いながら沢原は長い指を俺の口に突っ込んできた。と同時にベッドの軋みがさらに早くなる。
俺は我慢できずに沢原の指を噛んだ。口中で指先が俺の舌を玩んでいる。
「ふっ、ぅぐ…」
「あー、たっちゃんイイ、最高イイ、マジ気持ちい!超好き!あっ、あー!やっばい、超気持ちー!」
「…っゔ、ぐ」
どこかからまた地鳴りのような音が聞こえる。これでもかと顔が熱くなる。沢原は「たっちゃん超締まってる」とかなんとか下品な言葉を繰り返していた。
「たっちゃんマジ!全身真っ赤だねぇ、はっずかしーぃ!けどかわいー!」
ベッドが軋む。早く大きくドン、ドン、と全身に音が響く。
「っぁ、さわはら、ぁ」
「たっちゃん、もっ俺やば」
「っん、…ふっ………」

横になったまま呼吸が整うのを待っていると、汗ばんだ肌のせいか、先ほどまで暑かったはずの室内が急に寒く感じられた。
そうして少し、冷静さを取り戻す。
「あ……、隣!ばか沢原!隣が」
「え?隣?なにが」
呑気な顔で俺の買ってきたアイスを勝手に食い始めている。
「だからこっちの部屋の、人が……あれ」
「なに隣って?ここ角部屋じゃん。反対も住んでないし。え、ホラー?やめてよたっちゃん俺今日のバイト遅番なんだよー?」
「いや、ちが…だって最初に何回かドンドンって」
「え?…あ、それ俺だ」
「は?」
呆気にとられる俺を尻目に沢原は、「見て見てたっちゃんパナッペがにこにこしてるー」とふざけたことを言っている。
それからさらりと「たっちゃんマジかわいー、とか考えてたら嬉しくてつい」と、壁を殴った理由を口にした。「きゅーんってなってきゃーってなってブンブンしてたらどかーん、みたいな」とも言っていたが、そっちはほとんど意味がわからなかった。
「だからって、あんな何回も叩いたら隣じゃなくても迷惑だろ?」
沢原の手から半分以下になったアイスを奪い返し反論する。
すると沢原はきょとんとした顔で「俺それ、1回だけだと思うけど」とほざき始めた。
「はぁ?バカ言えお前、数もかぞえらんなくなったのか」
言いながら頭の中で音を反芻する。
ふとそれが、まさか自分の心臓なのじゃないかと気が付いた。
「ん?あれ?なしたのたっちゃん、顔真っ赤だけど」
「うっせー!帰れ!」
「俺んちだけど」
「うっせー!ばか!ばかぁ!全部お前のせいじゃねーか!」
「はー?なんだよたっちゃん、パナッペのこと?帰りに買ってくるよー」
「ちげーよばか!」
手元にあったクッションを投げつけると、沢原が「べうっ」と奇声を上げて顔で受け止めた。
「たっちゃーん、これじゃマジ近所迷惑…」
「うっさい!さわんなぁ!」