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一番の味方

亮平には高校三年生の弟がいる。母親は病死、父親は蒸発、たった二人の家族だという。
「進学を諦めて就職したいって言ってたお前の弟、どうなった?」
「何言っても就職から変わんね。授業料とか払えないだろって、
そんなん気にしないでさ、やりたいことがあるんだから勉強すればいいのに」
一度言葉を切って携帯をコツコツと叩く。言い淀んでいるのがわかるから、先を促したりはしない。じっと、次を待つ。
「俺の給料明細盗み見して諦めるって…馬鹿じゃねえの」
最後の馬鹿、は、諦めている弟になのか。それとも弟の夢を叶えてやれない自分に、なのか。
「奨学金の話をしても?」
「それでも」
「利息ゼロの貯金箱があんのに?」
「は? 何それサラ金?」
「いや、俺」
「はぁ?」
お前から金なんて借りねーよ、と呆れた風を装ってはいるが、気になっているのだろう。
サラ金かと答えたときは険しかった表情に、少々の緩みが見える。
「毎月じゃなくて、本当にヤバくなった時だけ。上限三万とか決めてさ。借用書も書く?
 俺の生活もあるし、二人で弟を育てる! みたいな感じで」
努めて明るく話す。最後に一言付け加えるのを忘れずに。
「俺一人っ子だから兄弟いるの羨ましいんだよね」
嘘だけど。それは飲み込む。
「…………じゃあ、ヤバくなったら貸してください。受験料ぐらいは何とかなるけど、入学金のとき借りる、かも。あいつには大学でバイトさせるから」
「そこら辺は兄弟で話し合って決めて。弟には俺の事言わないでねー」
「ごめん、ありがとう、宏樹」
「まだ借りてないんだからごめんじゃないでしょ」


こちらこそ俺の姉が亮平たちのお父さん奪って駆落ちしてごめんね。