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人外×人

それと出会ったのは、三日前。
子供が山座りしている位の大きさの、
何かが詰まった麻袋に、でかでかと「粗大ゴミ」と張り紙があった。
酔っていた俺は、何を思ったのかそれを抱えて、アパートに戻った。

正直、その日の飲み会が、思ったより面白くなく、鬱屈していたんだと思う。
でなければ、こんな怪しいものは拾わない。
それに、抱きしめて眠るなんてアホなこともしない。
ただ、袋越しでも、それの温かさとか程よい柔らかさが伝わってくるから、魔がさしたに違いない。
とはいえ、その何とも言えない感触から、どうやら中身は人ではないと結論はでた。
時折、心音のようなものが聞こえてくるのは気になるが、聞いている内に寝入ってしまうため、まだその正体に迫れていなかった。

そして今日、俺はようやく麻袋の中身を見た。
するとそこには、肌も髪も白い子供が眠っていた。

しばらく呆然としていると、子供が目を覚まし、俺を見た。

綺麗な水色の目を丸くさせたそいつの第一声は
「やっと、人に会えた」
だった。


その後、かぐや姫よろしく、あっという間に成長したソイツは、自分の事を「そとの者」と言った。「僕らの食べ物は、あらゆる生き物の知識」
「この世界の記憶と知識を食べたら、また旅にでるよ」
とか何とか言っていた割には、目の前でシシャモをかじるそいつに、俺は思わず聞いていた。
「知識が食い物じゃなかったのか?」
「確かに、食べられるのは知識や記憶だけど、コレは、食感について興味深い記述や感想が多かったんだ」
何でもないようにそいつは笑うが、
シシャモのように、知識で得た後そいつ個人が興味を持てば、どんな事でも実践する。

ふと、いい加減体格のよくなったこいつに、「初キスをしたい」と襲われた事を思い返し、鬱になった。

「なんでお前、男なんだ」
「なんで、って、僕ら男は水色、女は桃色の目って決まってるし」
「身体的特長なんて知るか」

とはいえ、目の色で性別判別は便利そうだ。
とか思っていると、こいつは少し考えるような素振りの後、こう言った。
「でも、今の僕の姿は、君が理想としている姿のはずだよ」
「は?」
「初めて拾ってくれたとき、抱きしめてくれたから、その時君の粗方の記憶と知識、流れ込んできたし」

笑うそいつに、俺は飲み会の日荒んでいた理由を思い出した。
片思いしてた奴が、結婚したからだ。
「なあ、お前は俺の嫌な記憶も食えるか?」
「食べれるよ」
「じゃあ、食ってくれ」

わかった、と言ったそいつに何故か押し倒され、結果、記憶どころか俺が食われた。

ついでに、アイツに言うはずだった文句も、一緒に食われた。