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先生×生徒

故郷を離れて働き始めてもう5年になる。
高校を卒業してすぐに就職した会社の年上の同僚や上司は、高卒で入社した俺にも優しく厳しく接してくれて、おかげで楽しく仕事が出来ている。
先生が褒めてくれた手先の器用さを活かせる仕事が出来るだけで頑張れるのだ。

ただ、生きているとどうしても辛いことや悲しいこと、腹立たしいことはあるわけで。
特にこの季節は思い出したくないことも、思い出す。

そんな時、卒業アルバムを開いてみる。
卒業アルバム本体の写真は見ない。そこに見たい写真はない。
最後のページと裏表紙の間に挟んだ写真、それは、先生と俺が2人で撮った唯一の写真だ。

俺はまだ学生で、考えも甘くて、世間体なんてどうでも良くて。
でも先生はそうにもいかなくて。

卒業式のあとでこっそりと、セルフタイマーで撮ったツーショットの写真。
これを見るだけで、俺に触れる手も愛を囁く声もすまないと泣いた顔も思い出せる。
それだけで十分だと、今は思える…ように努力している。
写真の先生は笑っているのだ。俺も笑わないと。

ねぇ先生。
先生も、この季節になると卒業アルバムを開くでしょうか。