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紙の花

 下校間際になって、ダチにこれからどうすると聞いてみた。
「オレ塾」
「生活指導の呼び出し」
「デート」
 珍しく全員が予定を口にしたので、オレは驚きと落胆で大声を出してしまう。
「誰も暇なやついねぇの?」
「みたいだな」
「で、どうした?」
「誕生日だから、何かおごってもらおうと思ったのに」
「ばか!」
「そんなのはちゃんと先に言っとけ!」
「今日は無理だから今度な」
「ちぇっ」
 確かに事前アピールしてなかったから仕方ないとすねながらも諦めるオレを残して、ダチはそれぞれに行ってしまった。
 仕方ない、家に帰ったら何かあるかもしれないと帰りかけるとアイツと出くわす。
「一人なんて珍しいな」
「皆用があるんだって。オレの誕生日だっていうのに」
「誕生日?今日が?」
「ああ」
「…………」
 何か複雑な表情をしたアイツはカバンからノートを取り出すと一枚破り、何かしはじめた。
 説明も何もなくただ見ていると、正方形に切り取ったノートを折って畳んで開いてあっと言う間に花の形にした。
「鶴は見舞いの、兜は子供の日のイメージだから。誕生日おめでとう」
「あ、ありがとう」
 手際の良さと思いがけないプレゼントに驚きながら、折り紙の花を受け取った。
「聞いたからにはお祝いしなきゃな」
「オマエって器用で律儀なんだ」
 裏も表も白だけどちゃんと花に見える元ノートを眺めて、つい顔がほころんでしまうほど喜んでいる自分に気付きあわてて表情を引き締めた。
「お前の誕生日っていつ?」
「夏だけど」
「ふーん。好きな物なに」
「何だよ急に」
 オレ、コイツの事もっともっと知りたくなった。