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思い出すために

異音がするビデオデッキに不安を覚えたが、今回もなんとか無事に再生できた。
画面の中で大写しになった歯を見せて笑う口元、
それが誰のものかなんて考えなくても分かる。
映像はとうに古くなって黄ばんでいたけれど、俺の中ではいつだって原色のまま変わらない。
”お前達って友達のくせに仲いいよな”
いつだったか誰かにそう言われて、苦笑いしながらも誇らしいような気持ちになったのはいい思い出だ。
けれども今、「友達」の俺に残っているのはこのビデオテープだけだった。

気づけば暗い部屋の中、映像を映し終えたテレビがぼんやりと光っていた。
巻き戻しボタンに手をかけながら考える。
きっと俺はこのテープを壊れるまで、壊れるほど見返すんだろう。
そうやって年々かすれていく思い出を繋ぎとめていくんだ。