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若芽×落葉

「いつまでしがみ付いてんだよ。」
ムカツク。
「さあね。」
クスリ、と小さく笑うしぐさもイライラする。
「アンタさ、分かってんだろ?アンタみたいなジジイはさ、
オレらみたいな奴の邪魔になるから、どけって。」
殊更に刺々しく当たってみる。
「それはすまないね。」
ジジイお得意の大人の余裕ってヤツか?
胸糞悪い。

時折、ふと空を眺めているコイツに悪態をつく。
その度、コイツは少し困ったような顔をして、笑うのだ。

「ああ、そうそう。」
ある日、珍しくコイツの方から喋りかけてきた。

「そろそろ、僕もどこかに行くことにするよ。」
え?
「もう、いい頃だと思うから。いままで、済まなかったね。」
何言ってんだ?
「オイジジイ!何言ってやがる!」
「もう、僕ぐらいの奴もいないし、今日は風もいい感じだしね。」
何、笑ってんだよ!言ってる意味わかんねーよ!!
「どこ行くんだよ!おい!」
「どこだろうねぇ。」
「ボケてんじゃねぇよ!」
オレが自分でも何を言ってるのか分からなくなって、
でもコイツの声だけは妙にはっきり聞き取れて。
「落ちた先で、どうなるかはわからないなぁ。
出来れば君が大きくなるのに役に立てば良いのだけれど。」
オレはそんなことが聞きたいんじゃない!

「それじゃあね。」
そう聞こえた瞬間、春の強い風が吹いて、ヤツは見えなくなった。


空を見る。
困りながら笑うなよ、バーカ。