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さらわれたい

「ぼっちゃん、今までありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ今まで私の世話をしてくれてありがとうございました」
「…」
「…結婚…される方にはもう会ったんですか?」
「いいえ…まだ。明後日実家に着く頃には家で待っているそうで、そこで対面すると思います」
「そう…ですか…」
「こちらの旦那さんのお知り合いのお嬢さんです、きっと良い方でしょう」
「貴方なら良い夫、良い父になれますよ…私が証明します」
「ありがとうございます」
「また、家に遊びに来てください」
「…申し訳ありません、それは…約束出来ません」
「…そう、ですよね…」
「…ぼっちゃん、貴方の顔は今しっかりと目に焼き付けました。どうかお元気で…」
「……っ…!」
「泣かないでください、お互い辛くなります」
「…行かないで…ください…っ」
「旦那様の紹介です、私は拒む事は出来ません」

そう貴方が辛い顔をして無理に微笑んだのが2年前。
私はまだこの鳥かごの様な部屋で貴方を待っている。
迎えに来る約束なんかしていないのに、もうすぐ私も政略結婚の道具に使われる。
早く、早く迎えに来て。
もう一度貴方の腕に抱かれたい。