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バカルロワイヤル

俺が借りてきたちょっと前の映画を二人で見たときのこと。
「もしこんな殺し合いになったらどうする?」
「絶対誰にも見つからない場所で、お前と二人隠れてる」
「そしたら首輪につけられた爆弾で死ぬんだよ。ピッピッピ…って。怖いじゃん」
「じゃあさ、怖くないようにエッチしてればいいよ」
ばかじゃねーの、ってそのときは思った。でもさあ。

「ねえ、カズキ、好きだよ」
そうやって耳に囁かれて、俺の体がびくんと跳ねる。思わず出そうになった声を抑えるために
手の甲を噛んで耐えてると、そっとその手を外された。
「また血が出ちゃう」
俺は自分の喘ぐ声が嫌いなのに、お前は好きだって言う。大好きだって。
借金を返すために外で身体を売ってるお前。何も出来ない俺は知らないふりをして、
でも本当は知ってる。俺が知ってることを、きっとお前も知ってる。でも俺たちは
知らないふりを続けて、お前は俺を優しく抱く。
「声、聞かせて」
お前も誰かにそう言われるの?あられもない格好でみっともなく喘ぐの?客たちは
お前が俺を抱くみたいに、優しく抱いてくれはしないだろう。
だから、俺は素直に手を外して、甘い嬌声が出るままにする。お前が望むなら。
お前がときどき身体を引きずって帰ってくることとか、何時間もシャワーを浴び続けてることとか、
身体に隠しきれない傷ができてることとか、そんな不安が全部なくなるように、
俺たちは体を重ねる。
こうやって体をつなげてる間は幸せで何も怖くない。
きっと今この瞬間に世界の終わりが来ても、俺たちはばかみたいに幸せ。
だから、きっと。あの映画のように、これから殺し合いをしてもらいます、と誰かに言われたら
俺たちは誰にも見つからない場所に隠れて今みたいに体を重ねるんだろう。
お前とこうやっていればどんな恐怖や不安からも逃れられるって知ってるから。
ばかみたいに聞こえるけど、愛はすべてに勝てるんだよ。