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かわいいでっかいワンコ受

「せーんぱーい!トーモせーんぱーい!!」
俺を呼ぶ脳天気な声と、いきなり背中に強い衝撃。
図体でかいんだから全力タックルだけはするなと何度言えば解るんだこの馬鹿、と怒鳴り散らしたいところだが、その前に廊下の床へとノーガードで顔面からダイブ。衝撃を受けた肺が潰れ、ぐへ、と妙な声が出た。
「やーっと追い付いたー!何で逃げるんスかトモ先輩ー!」
ぐるん、と視界反転。俯せで倒れたのを仰向けにひっくり返されたと理解できるまでに少々時間がかかった。
あぁこれはアレだ。『ダメ犬しつけ大作戦』とかの特番によく出てくる、人間大好きで落ち着きのない犬。こっちがどんな状況かなんてお構いなしにじゃれついてくるおバカな大型犬。
そんな事を考えていたせいか、目をキラキラさせて心底嬉しそうにこちらを覗き込むバカハルの頭に犬耳(レトリバー風垂れ耳仕様)を幻視した。あぁ衝撃で頭おかしくなったかな俺。
「へへへー、似合います?」
「……って、マジでくっついてんのかよ!」
思わずビシッとツッコミポーズを決めながら跳び起き、不肖の後輩の姿をまじまじと眺める。視線を受け『尻尾もついてんっスよー』なんて得意げにくるんとターンしてみせる。
何というか、似合うとかいうレベルを通り越して自然すぎる。尻尾がぶんぶん動いていないのが逆に不自然なくらいに。
……まぁ、その自然さのおかげであまり妙な感情を刺激されたりせずに冷静に応対ができるわけなんだが。
「で、何なんだその浮かれたカッコ。何かの余興か?」
「なんか『似合いそうだから』って渡辺たちに付けられて……あ、忘れてた!」
ぽん、と手を打ってハルが差し出してきたのは赤い首輪。
「『これは飼い主に着けてもらえ』って言われたんで、先輩のコト探してたんスよ?」
「……待て。俺がいつお前を飼う事になった」
「うん、だからですねトモ先輩」
一旦言葉を切って、ハルはじっと目を合わせてくる。やっぱりキラキラした目で嬉しそうに笑いながら。
「これから俺の飼い主になってくれません?おっけーならそれ、つけてくれるってコトで」

言われた俺としては「公衆の面前でなにをとち狂った事をぬかすかバカ!」と叫んで渾身のボディーブローを喰らわせて逃走するしかなかったが、とりあえずしっかり首輪は預からせていただいた。