勘違いしないで

「お前がね」
彼がこちらに視線を向けて、にこりと微笑む。
「俺のことを好きだって、見てればわかるんだ」
「…そんなとんでもない勘違いしないで下さい。アナタらしくもない」
僕は鼻で笑って、彼の視線を受け止める。
「勘違いぐらい好きにさせろよ。…なあ」
そんな僕に、彼は優しい。昔も今も。
「なんです」
「好きだよ、俺も」
その言葉に、僕はなにも言い返せない。言いたいことは
なにひとつ言えないままだ。今も昔も。
そんな僕のために、アナタは勘違いしてくれる。優しい人。
(どうか、お願いですから)
ずっと、勘違いしていてくださいね。
僕がアナタを好きだって。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年08月08日 04:56