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囚人のジレンマ

「ねぇ……寝ちゃった?」
隣からの小さな声。
「……まだ、寝てないよ」
「そか」
そう言うとクスクスと笑いながら身を寄せてくる。
「おい」
「いいでしょ。恋人、なんでしょ?」
「そうだけど」
だけど、今はまずいだろう。
今自分達がいるのはラブホでも自室でもなく古い旅館。
ここにいる理由というのは一般的に言う修学旅行というやつで
周りには雑魚寝したクラスメートがたくさんいる。
「見られたらマズイだろ」
「そうだね。でも、こうしてたい」
そう言いながら腕を回されれば逆らえない。
惚れた弱みは絶大だ。
「寝るまでこうしててやるからさっさと寝ろよ。明日、辛いぞ」
「どうしようかな……」
「おい」
胸に埋められていた頭が耳元に移動してくる。
「ね……シたくない?」
ベッドでしか聞けない甘い声に背筋がしびれる。
「…………だめ」
本音を言えばしたい。
スゴくしたい。
なかなか出来ないシチュエーションに下半身は期待を示している。
「声ならちゃんと我慢するよ?」
背中を細い指が滑る。
それに思いきり反応し体がのけぞった。
それにより押し付けてしまった下半身。
「……『体は正直』?」
「うるせえ……後で嫌だとか言うなよ」
そう言うとオレはTシャツに手を伸ばした。
胸の中心を摘むとピクリと体が震える。
可愛らしい反応に気をよくし唇を寄せると上から小さな笑い声が聞こえた。
「ね……ここでオレが『助けて』って泣き叫んだら、退学になるかな?」
「なっ!?」
「きっと噂にもなるね。男襲ったってさ」
「なんだよそれ」
「もしもの話だよ」
笑い声は止まらない。
「……んな事されるなら、される前にオレがやるぞ」
そんな恥ずかしい真似するつもりはないが、
教師の信頼はある程度得ている。
涙ながらに訴えれば信用される自信はある。
「そんな事したら二人で退学かな」
「オレ退学なんてヤだぞ」
引きかけた手を掴まれる。
「やめないでよ。……大丈夫、オレそんな事しないから、ね?」
にっこりと微笑むその顔に嘘は感じられない。
けれど頭をよぎる嫌な未来。
どちらかが裏切れば相手の学校生活はおしまいだ。
「……好きだよ」
甘い甘い誘惑。
裏切りさえしなければそこには最高の快楽と愛情が待っている。
「信じてよ。……ね、シて……?」
地獄と隣り合わせの天国。
迷いは振りきれず、オレはただ余計な事が言えないように互いの口を塞いだ。