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その弱さと醜さを愛す

「俺はお前のことなんか好きじゃないんだ」
自分の下で熱い吐息をこぼしながら、年上の人は言った。だから勘違いをするな、と。
会社の忘年会でつぶれてしまった上司を一人暮らしのマンションまで送り届けると、
ベッドに引きずり込まれた。
酒のせいで上気した顔でねだられて抱くと、普段厳しい顔しかしない上司の甘えてくる様は
自分の中にある庇護欲を驚くほど刺激した。
「お前だって出世したいだろう。君は男しか駄目かもしれないが、俺は違う。
会社にばらすなんてバカなことは考えない方がいい」
セックスのときにまで萎えるようなことをいう口を唇でふさぐと、
上司はうっとりと恍惚な表情を浮かべて腰を揺らす。
……そのままおとなしくなった上司を揺さぶって、タイミングを合わせて射精すると、
くったりと胸に顔をうずめてきた。
忘年会の翌朝、裸で抱き合ったまま眠って、先に目が覚めた上司は真っ青な顔で罵倒の言葉を投げつけた。
会社にばらされたくなければ自分とこれからも寝ろと言ったのは自分だ。


「あなたは弱い人だ」
自分の胸の中でびくんと上司が震える。
「俺は出世なんかどうだっていい。でも会社にばらしたりもしない」
「……ばらさないなんて嘘だ。君だって心の中では俺をバカにしてるんだろう。
足を引っ張ってやろうと思ってるんだろう」
「馬鹿になんかしていません」
「弱い醜いと君は言った!」
「ええ、あなたは弱くて醜い。思いやりはないし自分の保身ばかりだ」
言うと上司は泣きそうな顔で体をよじった。
自分から離れようとする体を強く拘束すると、泣きそうな顔をする。
「嫌がらせを言うならもうやめてくれ」
「やめません」
上司は唇を強く噛むと、頼りなく数回瞬きをした。
その仕草が、上手く甘えられずわざと酷いことを言って気を引きたがる子供のようにみえてくる。
上司の髪にあやすように口づける。何度も繰り返すと、上司のこわばった体が少しずつゆるんでいく。
「俺はあなたが好きだ」
「……うそだ」
「嘘じゃない。あなたの弱さも醜さも、全部ひっくるめて、愛してますよ」
腕の中で上司は、もう一度「嘘だ」、と呟いた。