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知性派×肉体派

「というわけでだ。同性愛者という種類の人間は近年ようやく市民権を認められつつあるとはいえ、まだまだ奇異の目で
見られたり、不遇な立場を強いられることも多い。だがな、特定の天敵の存在しない人類は実際増えすぎているとは
思わないか?天敵のいない人類を淘汰するために、定期的に世界的な規模で死亡率の高い病気が流行したり戦争が
発生するという説だってあるくらいだ。だとしたら種の保存を真っ向否定する我々同性愛者という存在は、地球に優しい、
実はものすごーく重要な宿命を背負った新人類だっていう結論に結びつかないか?」
息もつかずそこまでを一気に喋り、直太郎は既に冷めてしまったコーヒーでようやく喉を潤した。
「あのさぁ」
こちらはすでに飲み乾してしまって、細かな氷しか残っていないグラスをしゃぐしゃぐとストローでつつきながら、祐真は
呆れたように頬杖をついた。
「それでやるのやらねーの?やらないんだったらこんなところで油売っててもしょうがないし、オレ今からでも部活行って
こようと思うんだけど」
「おっ、お前は!今言った俺の高尚な理論を聞いていなかったのか!やるとかやらないとかそういう前に、何故自然の
摂理に逆らってでも俺たちが求め合うのかという」
「あーはいはいはい。どんな理屈こねたってさぁ、こんなの誰だって一緒じゃん?好きだからやる、やりたいからやるって
いう以外にどんな理由が必要なのかオレにはわかんねぇよ」
直太郎は確かに頭がいいが、それ故に少々理屈っぽい。別に嫌いなわけではないが時々その理屈っぽさが面倒くさく
なるのは自分が頭よりも身体を使うことを得意とするせいなのかなと祐真は思う。
「オレの身体好きにしていいっつってんのにこの期に及んで何をごちゃごちゃ言うことあるかなぁ。お互いやりたい盛りの
年頃なんだし、とりあえずは本能の赴くままにやってみてもいいんじゃねぇ?」
言葉にしてみると、それは直太郎のどんな理屈よりも正しいような気がして、祐真はうんうんとひとり納得して頷いた。
互いを隔てるグラスを載せたガラステーブルをよいしょと脇へと押しやり、勝手に自分の学ランのボタンを次々外していく。
「よしやろう今やろうすぐやろう!頭で考えるより身体で覚えろだ!」
祐真は学ランの下に着ていたTシャツも脱ぎ捨てると、あっという間に上半身を裸になってしまった。それを止める隙もなく、
直太郎は呆気にとられて、ひどくやる気に満ち満ちた祐真を眺めて溜息をつく。
「……お前には情緒というものがない」
「お前には思い切りが足らねぇよ」
互いに呆れたように呟いて、やりたい理由とやりたい気持ちをぶつけあいながら、今夜も無意味に夜が更けていった。