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北風タイプと太陽タイプ

「北風と太陽」は、「旅人の上着をどちらが脱がせられるか」
という北風と太陽のたわいのない勝負
冷たい北風を浴びせ続けても、旅人はより強く上着を抑えるばかりで
太陽が暖かな光を満たして初めてそのボタンを自ら緩めたのは有名な話

「だからきみは不器用だというんだ。ただ吹き荒れるばかりが手段でもなかろうに」
「うるさい。貴様にとやかく言われる筋合いはない」

その冷たさ、過酷さから恐れられ、疎まれ続けた彼は
いつしかその心も同じように凍てついていると思われてしまった。

「俺の仕事はすべてを閉ざすこと、枯れさせること。貴様になぞ理解できるものか」

ぼくは知っている。彼の季節があるからこそ、人はやがて訪れる春の暖かさを尊く感じることを
そして冬、雪がすべての命を抱きしめて眠りにつかせる間、それを乱す者がないよう守っていることを

「だれからも愛され笑顔を向けられる貴様になぞ、わかるものか」

あの旅人はもう一度上着を着込みながら言っていた
この先の街に着いたら、熱い料理と酒でこの寒さを楽しむのだと
この季節だからこそ薫り高い酒が美味いのだと

木々の葉も落ちた街が寂しいかと問うてみれば
この季節にしかない静けさが好ましいと答える者は多い

きみを愛する人もちゃあんといるのだよ

人よ、彼を憎まないでおくれ
彼のその冷たい指先では触れることも叶わないのだ
彼の凍る吐息と唇では口付けることもできないのだ
ただ吹き荒れ凍てつかせることで、今はその身を暖めよと警告するしかないのだ


彼自身を抱きしめる者はいないのだ
わたしの腕の中は暖かすぎて、彼の声ごと溶かしてしまう

だからせめて 窓の外でひとり歌う彼を 疎まないでおくれ