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酌み交わす

「酌み交わす」……それは雑音さえもBGMとして、二人の世界がそこに存在することを意味する。

20代前半同士が仲間内の賑やかな飲み会から少し隅に外れて二人だけで酌み交わすとか。
30代中頃の隠れゲイが恋人にフラれた同僚を慰めつつ胸を締め付けられつつ平気な顔で酌み交わすとか。
30代後半同士が会社で独身なの俺らだけかー、などと言いながら少しずつ、でも確かに近くなる距離を感じながら「まさか」「もしかして」という予感に戸惑いつつ、だけど世間体やら突き進んでみるには遅すぎる年齢やらを気にしてちょっとした後ろ暗さを抱えて酌み交わすとか。
40代ノンケ同士が行きつけの飲み屋でいつものモツ煮をつまみながらキャッキャウフフと娘息子の話に花を咲かせつつむしろ二人がお花ですみたいな状況で酌み交わすとか。
50代同士幼馴染あるいは腐れ縁がお正月に家族ともども互いの家を訪れ騒がしい家族を尻目に縁側で言葉少なに、でも同じ出来事を思い出しつつ微かに笑いあいながら酌み交わすとか。
20代院卒新入社員が仕事で凹んでいるのを飲みに誘って「焦らなくても大丈夫だよ」と酌み交わす40代上司とか、もしくは無言でお前ならできると信頼を寄せつつじっくりと酌み交わす50代上司とか。
40代と30代の仲良し先輩後輩がもう毎日楽しいことしかないみたいにホモホモしく酌み交わしたりとか。

高校以来顔をあわせていないさして仲良くもない同級生から連絡が来たと思ったら帰省したからとなぜか酌み交わすことになったりとかそこから始まるマイレボリューションとか。
憧れの親戚のお兄ちゃんがおじさんになった頃にやっと酌み交わせて「お前と酒飲む日が来るとはな」ってちょっとまだ子ども扱いででもやっぱり嬉しそうなそんな感じで酌み交わすとか。
微妙に閉鎖的な田舎の、無気力アウトロー高校生ゲイ同士が廃屋でひっそりと酌み交わす父親のウイスキーとかそこから始まる埃くさいセックスとか。
十年分の思いを胸に秘めたままで、結婚していく親友を精一杯祝いながら酌み交わすとか、そうして涙声になる「おめでとう」とか。
何も知らずに「なんだよ、お前ってそんなに泣き上戸だったっけ?」なんて酒を注いでくる親友とか、恋心や出掛かった言葉と一緒にそれを飲み干したりとか。

普段言えない言葉や言ってはいけない言葉や、二人きりになりたいあの人や一緒にいるのが当たり前なあいつや、楽しかったり浮き足立ったりお酒の勢いでときめきが加速度だったり。
妙に泣けたり想いがこみ上げてきたり「こんなの酒のせいだ」とか、いつもより近いのもふと触れてしまったのも「酔ってるからだ」とか。

つまりゲイもノンケもとにかく酌み交わせ、話はそれからだ。