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食えない男受け

付き合ってる女、狙ってる女、知り合った女・・・俺に関わった女は右か
ら左で村崎に流れていく。
友人からは「あいつとの付き合い考えろ」と言われていた。
俺も村崎もシモ事情は緩い。だから俺は女を取られたなんて全く思わ
いし、向こうも寝取ったとは思ってないだろう。
徹底的に嫌われるタイプではないものの、友人の言うこともわからなく
はない。村崎は要領のよさが目に付くところがある。
例えば今夜のように、翌日朝イチで講義がある場合、学校に近い俺のア
パートに泊まったりするところとか。

「次は男にすっかな。おまえに手ぇ出されないように」

アパート近くの中華屋で晩飯を食いながら、眺めていたナイター中継が
CMに切り替わった時、俺は冗談のつもりでそう言ってみた。
村崎がどんな反応をするか見てみたかったという気持ちもあった。

「じゃあ俺でいいじゃん」

村崎は表情を変えず、あっさり返事をした。
あまりに普通に返され、俺もつい「そうか」と頷いてしまった。
そのあとは普通に飯を食って店を出た。

「おまえと付き合ったら、どっちが上になんの?」

アパートに向かう途中で、セックスに関する素朴だけれどわりと重要な
問題を俺は持ち出した。
村崎は「俺が女役でいいよ」と、ほぼ即答した。
何も考えてないのか、予め考えていたのか、よくわからなかった。
俺はそれ以上この話題を続けるのをやめて、部屋に着くまで今夜のナイ
ターの話をした。

村崎が本当に付き合うつもりだとわかったのは、俺が風呂から出て泊ま
り客用の布団を敷いていたときだった。

「なに、今日はやんないの?」

交代で入った風呂から出てきた村崎がそう言った。
さすがに少し焦って、俺は布団を敷く手を止めて村崎に向い合った。

「おまえ、マジで言ってる?」
「え、違うの? 役割分担まで決めたからマジかと思ったのに」
「いや・・・男同士ってどうよ。勃たないだろ」
「やってみりゃいいじゃん。無理そうなら途中でやめてもいいし」

村崎の軽さに多少呆れたけれど、俺も人の事は言えないクチなので、と
にかく試しにやってみることになった。
お互い経験値がそこそこ高めなのと、勘がいいのもあって、そっち方面
は初めてのはずなのに、俺と村崎は何となく最後までやれてしまった。
何の問題もなかったね、と終わった後で村崎が言った。

「なんか俺、うまく乗せられてないか?」

これまでの村崎の行動を省みて、浮かんだ疑問を俺はぶつけた。

「おまえ・・・もしかして俺のこと好きだったんか」
「もういいじゃん。付き合うんだし、細かいこと気にすんなよ」

村崎は隣でニヤニヤ笑いながら言った。
友人は、村崎は食えないやつだから付き合いを考えろと言っていた。
これから本当に村崎との『付き合い』が変わってしまうことは、黙って
いたほうがいいのだろうかと俺は思った。