※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

二才の差が埋まらない

お前は3月生まれ、俺は次の年の4月生まれ。
1年ちょいしか違わないのに、学年は2つ違い。
これって由々しき問題だと思うんだけど、どう思う?

「…なんだって?」

だから、1年ちょいしか違わないのに2学年も離れてることがおかしいっての!

「はぁ。まぁ。そうなるね」

なんだよその気のない態度!
1学年でも離れてたら同じクラスにはなれないし、一生ずっと同級生にもなれないし、机が隣り合うこともないし、運動会は敵味方に分かれるし、いいことないじゃん!

「…ぷっ」

な、なんなのその馬鹿にした目は!
それが愛を訴える恋人に向ける目なの!あ~もうムカつく!

「それならさ、1学年も2学年も違いないじゃないの」

言うと思った!冷たいよねそーゆーとこ!他人とか動物とか、もっと言っちゃえば「俺以外」には優しいくせに!

「2学年違うと、何が違うの?」

え~、説明しないとわかんないの?マジで?
…だってさ、もうすぐアンタ卒業じゃん?そしたら毎日会えないじゃん?寂しいじゃん?
それが2年も続くとかさ…なんかさぁ…

「なんかさぁ…」

そう呟いて途端に静かになった隆弥を見て俺は口角が上がってしまうのを止められない。
これだけ素直にストレートに感情を向けられて、逃げ出したくならずに寧ろ心地よくなるなんて自分に驚きだ。

「アンタ、大学でも友達いっぱいできて人気者になったりして、サークル活動したら可愛い子に言い寄られたりして、自慢のカノジョとかできちゃうんじゃないの?」

…さりげなく浮気を疑われたような気がするが年上なのでスルーしておく。

「そんでさ、もう毎日会えない俺なんか忘れてさ、大学生活エンジョイしてさ…」

「…それって条件はお互い一緒じゃない?お前も毎日会えない俺なんか忘れて楽しい高校生活エンジョイして可愛いカノジョ作って…」

「…!なんだよそれ!疑ってんのかよ!」

「………」

「…あっ!ごめん」

すぐに自分の言ったことを振り返り、そのまま素直に謝罪できるのは隆弥の美点だ。
ひねくれた俺にはできない。
素直な賞賛の気持ちと微かな嫉妬。
こんな俺の気持ち、こいつは理解不能だろうな。

「…俺はたださ、卒業しても毎日…は無理でもさ、なるべくいっぱい会えたらいいな、って言いたかっただけなんだよ」

俺の部屋、俺のベッドのうえ、俺から1メートル以内の距離。
ここまで立ち入らせる存在が、ほかにあると言うのだろうか。

いつもなら絶対に口にしない感情だが、あまりにも素直に寂しさをぶつけられてたまには俺もなにか言ってみるかと思った。
でも言えない。
隆弥が気にしている2学年差、それが10代のしかも高校生にとってどれだけ大きなものか、俺だってわかっている。
…忘れられるのは俺の方だってこともあるんだよな。

「…あれだな。隆弥は青春真っ盛りってことだな」

「なにそれ!自分だけ大人ぶっちゃって!アンタだって高校生でしょ!」

「学校初の一流大学に合格した優秀な生徒会長、な」

「…うわー!大人げないこと言ってるよ!このひと!」

「悔しかったら…さ」

「ん?」

「…頑張ればいいんじゃないの、副会長も」




(俺は2年間、ずっと待ってるから)