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男前ヒーロー×へたれ相棒

ヒーローといえば悪と戦い正義を貫く、孤高の存在というイメージだ。
だがそこに相棒が添えられるとなると果たしてどういう状況か。

例えば、鍛え上げた体と科学技術を武器にひとり戦うヒーロー。
けれどその影には、彼を支えるメカニックがいたかもしれない。
例えば、誰も巻き込まないために孤独であることを己に課していたヒーロー。
そんなヒーローに憧れた少年が押しかけ、強引に相棒になったのかもしれない。
あるいは、一人では倒せない強大な敵を倒すために
ひとりとひとりのヒーローが一時的に並び立つ、そんなこともあるかもしれない。

これらの「相棒」は、皆おのおのの技術を駆使してヒーローを支えている。
そうやって支え支えられ、安定したバランスを保てる相手が相棒ということなのだろう。

さて、それでは俺とこのヒーローの関係は果たして相棒と呼べるのだろうか。

今眼の前に居るこの男は、本物のヒーローだ。常人にはない力を持ち、
同じく常人にはない力で人を害する敵と戦うことで平和を守っている。
その正体を知っているのはたぶん、世界で自分だけだ。
彼が相棒と呼ぶ俺だけが、マスクに隠れた素顔が実はとても整っていることとか、
力に溺れないよう常に己を律していることとか、隠れた努力を忘れないこととか、
助けられなかった人を思って泣きそうな顔をしながらも歯を食いしばって耐えていることを知っている。

対する俺は、ただの人間だ。どうしようもなく平凡で、弱っちくて。
それでも男は、幼い俺がヒーローに憧れる姿がなければ自分は力を受け入れられなかったからと、
俺がいなければ今の自分はなかったからと、俺を相棒と呼ぶ。

でも俺にできることなんて、彼の帰りを待つことくらい。ヒーローの相棒なんて呼べるものじゃない。
だから、せめて。

「お、俺をあんたの人生のあいぼうにしゅてっ!」
噛んだ。思いっきり噛んだ。
よりによってここで噛むとか!どうしてこう俺は肝心なところで!
「……?」
ぽかんとした顔でこちらを見る男に死にそうな心地になりながら、それでも羞恥に耐えて言い直す。
「だから、そのっ! 俺は! お前の隣にずっといるからって言いたくて!」
俺だけは何があっても彼を裏切らないという、その思いだけでも伝えたくて。
ヒーローとしての彼を支える力はなくても、人である彼の心を支えるのは自分だと訴えたくて。
「……まったく」
男の手が優しく頭を撫でる。顔をあげると優しい笑みがこちらを見下ろしていた。
「がっちがちに緊張してるから何を言い出すのかと思ったら、まさかこんな熱烈なプロポーズを貰えるとは」
「ねっ! ぷろっ!?」
言葉にならない。
「違うのか? やっと俺の思いが届いたのかと舞い上がったんだけど」
「えっ、あっ、ちが、いやちがくなくて、あれっ」
「違わないのか、よかった。さすがに持ち上げられて突き落とされる流れは勘弁」
そして。
言いたいことは色々あったはずだけど、そのままぎゅっと抱きしめられてキスをされて。
言葉よりよほど気持ちの伝わるその行為に、迷いは全部消えてしまった。