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強がらない

沢田は昔から強がりだ。

俺は今、沢田が大学で1番の美女に一世一代の告白をした河原の土手にいる。
沢田は隣に座っている。見てる奴なんか誰もいないのに、泣かない。沢田は幼稚園の頃から一度も、人前で泣かない。

しかし泣きたいのは本当は俺の方だ。
何が悲しくて10年も片想いをしている奴の告白を見届けなければならなかったのだ。
フられてホッとしているなんて、沢田には死んでも言えない。

でも。沢田と違って強がれない俺は、好きな奴が悲しそうなのを見て、そして、俺が1番言われたいことをあんな女に言っていたのを見て、懸命に涙を我慢している。

「しん、なんでお前が泣きそうなんだ」
沢田は俺の顔なんか見なくても、俺が泣きそうなのをわかっている。
「お前が強がって泣かないからだ」と答える。本当は違うが。

「じゃあ、お前が泣けないと言うのなら、おれはもう強がらない。泣くよ。お前も泣け」

驚いて隣を見ると、沢田は初めて俺の前で泣いていた。ただ静かに、涙を流していた。

だが、俺は泣かなかった。
沢田、知っていたか?
俺は、お前が俺の目の前で安心して泣けるような男になるのが、小さい頃からの夢なんだよ。
大きく息を吸って、沢田の手を握った。

「沢田、俺はお前の事がずっと」