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正義の味方×マッドサイエンティスト

「それは本当ですか、博士。」
「ああ、もう今日でちょうど5年になる。そろそろ彼の身体機能は停止するだろう。」
「今回は5年ですか。少し伸びましたね。」
「彼に薬を投与した君は、少し負い目を感じるだろうが、あまり気にするなよ。
彼を選んだのは君では無く、上の指示なんだからな。」
「いえ、大丈夫です。」
「私も優秀な助手を持ったものだな。さて、薬の開発を続けるか。
この世界を守る新たなヒーローを誕生させる為に!」
「・・・はい。」


「・・・痛っ!」
「ご、ゴメン。」
昼間の会話を思い出しながら、ボーっと傷の消毒をしていた為、手元が狂ってしまった。
「・・・今日、傷多いな。敵、強かった?」
「いやー、なんか最近、治癒力がすげー弱くなってきてんだよな。
正義の味方も加齢には勝てないってか」
「加齢って・・・俺たちまだ19じゃん・・・」
たしかに数週間前までは、どんな大きい傷でも直ぐにかすり傷程度にまで回復していた。
彼に投与した薬の効果が切れてきているという証拠だろう。

「さてと、治療も終わったし、もう寝るかー」
彼が立ち上がって寝室へ向かおうとした時、咄嗟に彼の服を掴んでいた。
「何?」
「えっ・・・あ、いや・・・その・・・」
「どしたよ?」
「・・・その・・・したい。」
彼は驚き、目を見開いたが、直ぐに微笑み、そっとキスをした。
「・・・するなら、ベッド行こうぜ」

「んっ・・・はぁっ・・・」
いつもの彼のキスだ。力強いけど優しいキス。
その優しいキスは、今の俺には物足りなくて、無我夢中で舌を絡ませた。
「ん・・・っ、お前今日どうしたよ。
自分から誘うなんて。しかも、激しすぎ・・・」
そういいながら、顔を見合わせたとき、ふと彼が動きを止めた。
「お前さ・・・なんで、そんな泣きそうな顔してんの?なんかあった?」

「・・・いいから、続き、しよう。」
「そんな顔してるやつを抱けるかよ。何があったか知らないけど
元気無いお前とこういうことしたくない。」
「・・・お願い。」
「・・・正直言うと、今日なんかすげー眠いんだわ。ちょっと寝かしてくれねぇ・・・?」
彼の目は、今にも眠ってしまいそうなほどトロンとしていて。
そんな彼に無理やりせがむのも気がひける。

「わかった。ごめん。」
「悪ぃな・・・。あー、明日さ、どっか出かけようぜ。お前、明日誕生日だろ?
何か美味いものでも・・・あぁ・・・なんだ、超ねむ・・・」
そう言いながら彼は横になり、目を閉じた。

俺は隣に寝っころがり、そっと彼の手を握った。
すると彼は薄く目を開け、愛してる、と声にならない声を出し、また目を閉じた。
俺は、その言葉に返答しなかった。
それをしてしまうと、本当に最後の言葉になってしまいそうな気がして。

空調の効いて無い、蒸し暑い部屋では、彼のひんやりとした手が心地よかった。

俺は軽い懺悔をし、そして目を閉じ眠った。
こない明日を夢みながら。