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生き別れの兄弟の再会

「今日はどんな感じにしますかー」
「あの、僕こういう美容院とか初めてでよく分からないんですけど」
「んーじゃあ例えば芸能人でこんな髪型にしたいとかあります?」
「すみません、芸能人とか詳しくなくて……あの、オシャレな感じにお願いします」
「はは、じゃあおまかせって事で」
「はい、すみません、お願いします」
「お願いされまーす。お客さん学生っすか?」
「あ、はい、この春から大学生です」
「へー、どこの大学行くの」
「その、矢追医科大学です」
「じゃあ医学生だ、すごいっすねー」
「いや、全然そんなんじゃないです、僕なんて全然」
「いやすごいっすよー。じゃあ越してきたばっかっすかー」
「あ、はい、先週からこっちで一人暮らしです」
「へー実家はどこなんすか」
「福岡です」
「おー!俺も小さい頃住んでたんすよ福岡」
「え、そうなんですか」
「懐かしいなー。実家に兄弟とかいるんすか?」
「小学校低学年の頃、兄がいました」
「いましたって……すみません、聞いちゃまずかったっすか」


「いえ、いなくなったって事しか覚えてないんで、そんな、大丈夫です」
「そうなんすか」
「確か兄は手先が器用で図工の宿題を代わりにやってもらったってのはぼんやりと覚えてるんですけど」
「あはは、そういえば俺も弟に宿題やってもらってたっすよ」
「弟さんいるんですか」
「人見知りだし子供のくせにテレビとかに興味ない変わった奴だったんすけどね、頭だけは良かったから」
「仲良いんですね」
「んー、中学生になるちょっと前に両親の離婚でばらばらになっちゃってそれ以来会ってないんすよー」
「え、あ、すみません」
「いや全然大丈夫っすよ。はいできましたよーこんな感じでどうっすか」
「あっすごい、思ってた感じにすごく近いです」
「よかった、また来てね。なんかまたお客さんと話しりしたいっす」

こうして僕は美容師の"お兄さん"のところに通うことになった。
お互いの名前を知って二人して驚くことになるのはしばらく先の話。