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「ずっと一緒にいようね」なんて

もう何年が経ったんだろうなあ、なんて思う。
隣で眠ってるこいつに、初めて会った時はこっち見るのか俯くのか迷っているような目で
割と面倒くさそうによろしくお願いします、なんて。
それが面倒だったんじゃなくて人見知りだったってわかるのに大した時間はかかんなかったけど。
愛しい恋人の寝顔を見ながら一服なんて悪くない気分だ。
充博の寝顔はあどけなくて、それが余計に昔の事を思い出させる。

「お前さあ、すっごい緊張してたよなあ」

本当は緊張してたんです、なんて言ったのは三度目くらいに会ったときだっけ?
俺のがお兄ちゃんだからしっかりしなくちゃ、なんて普段は割と年上に可愛がられる事が多い俺をそう思わせた充博が
俺は可愛くてしょうがなくて、何でもしてやりたくて。

「今でも結構そう思ってんだよー?俺はー」

寝顔を覗き込む。きっと起きてたらお前は、まあ俺のが世話焼いてるけどね。とか言うんだろうけど。
まだ半分も吸わない煙草を消して、覗き込む。生意気な俺の可愛い恋人。

「なーみつひろー」

短い髪を撫でてやると、うるさそうに払われてその手を掴まれた。
え、起きてんの?と口を開く寸前、充博からは変わらず寝息が聞こえてくるので思わず肩を竦めてしまう。

「これからもずーっといようなあー」

きっとお前は起きてたら、まあ善処しますよ、位しか言わないんだろうから。何となく悔しいから今しか言わないでおくからな。
充博に握り締められた手をそっと解きながら、俺はその手でもう一度ゆっくり頭を撫でてやった。

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「ずっと一緒にいようね」なんて、口にするのは何となく嫌だ。
そんな事口に出さなくても、いたけりゃいるだろうし、駄目になるときはなるだろ。
俺はそう思ってたし、別にそれが特別な事じゃないのもわかってる、ただ皆信じたいだけだろ。
本当に永遠とか、あるかわかんないもんの存在をさ。

だからたまに拓馬さんが、お前大きくなったねぇなんて親ですかあんたはって事を言う時が一番好きだ。
拓馬さんは一緒にいようとか、そういう事言いたいかどうかなんてのは知らないけど、俺の前で口には出さない。
ぽんぽんと子供にするみたいに俺の頭を撫でて、あー俺ガキじゃないんですけどって言うと目じりに皺を浮かせて笑う。
あんたのその顔、一番好きだな。
多分その皺が増え続けるのを見るのも、悪くないんじゃないかなと俺は思う訳だけど。
……まあ、絶対口には出すつもりは無いけどね。

だから真夜中、俺が寝てると思って拓馬さんが、
「これからもずーっといようなあー」
そんな風に囁いたのも聞かないふりをして。
まあつまり、口に出さなくてもまだ離れるつもりは無いって事くらい、きっと拓馬さんに伝わってるはずだってのは、
一応自惚れだって自覚はあるけどね。
でもきっと、わかっててくれてんだろ?あんたの事だからさ。