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踏み台になる

「攻めさん攻めさん」
「なんだ、受け」
「踏み台になってください」
「ん?どうした」
「戸棚に置いてるマグカップ、棚の位置が高すぎて取れないのです」
「ああ、あれか。なら俺が取ってやるよ。ほら」
「あ。……ありがとうございます」
「せっかくだから一緒にココア飲むか」

「攻めせん攻めさん」
「なんだ、受け」
「踏み台になってください」
「ん?どうした」
「この壁を乗り越えて向こうへ行きたいのですが、まず上のところに手がかかりません」
「おお、これか。なら俺が通れるよう壊してやるよ。うおおおおお!」
「あ。……ありがとうございます」
「破片踏まないように気をつけろ。さ、行くか」

「攻めさん攻めさん」
「なんだ、受け」
「踏み台になってください」
「ん?どうした」
「身長180センチからの風景というものを見たいのですが、僕では少し足りなくて」
「ふうん。なら俺が肩車してやるよ。180センチなんか目じゃないぞ」
「あ。……ありがとうございます」
「しっかりつかまってろよ。せーの」

「攻めさん攻めさん」
「なんだ、受け」
「踏み台になってください」
「ん?どうした」
「出世したいのですが、あなたを利用するのが手っ取り早いかと思いまして」
「へえ、そうなのか。なら俺についてきた方がもっと早いし楽だぞ」
「あ。……ありがとうございます」
「今日のプレゼン、応援してくれな」

「攻めさん攻めさん」
「なんだ、受け」
「四つんばいになってください」
「うおっ、なんか言い方が直接的になったぞ!?」
「あなたを踏み台にしたかったのに、全部かわされてしまうので」
「かわしたつもりはねえけど。つーかお前、俺を踏みつけたかったのか?」
「踏みつけたいというか、たまには僕が優位になってみたいというか。
 いつも僕が乗っかられているので、少しくらいはいいじゃないですか。ね?」
「なんだ、そういうことか。なら最初からそう言えよ」
「え。あ、ありがとうございます……?」
「じゃあ今日はお前が上な」


「なあ、受け受け」
「なんですか、攻めさん」
「まだ俺を踏み台にしたいか?」
「いえ……一緒に飲んだココアは美味しかったし、手にマメが出来ずに済んだし
 景色は壮観だったし、副社長になれたし……あなたを上から見下ろせたし、もういいです」
「そりゃ良かった。まあでも、本当に必要なときが来たらいつでもなってやるよ」
「え?」
「踏み台。お前の為ならワケないさ。ま、他に方法がなかったらだけどなー」
「あ。……ありがとうございます」

(ああ、そうか)
(僕は彼を踏み台にしたかったんじゃなくて、僕の為なら踏み台になってくれる彼を確かめたかったんだ)